今後も活況が期待されるIPO(新規上場)市場だが、どのような投資戦略が有効か。もちろん公開価格で手に入れることができればよいが、それはなかなか難しい。そうした意味で、上場後の値動きが大きな間に利益を狙う「セカンダリー投資」に注目したい。投資情報サイト「IPOジャパン」編集長・西堀敬氏がその投資戦略を解説する。
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上場後の高値を付けた後、調整して値を下げたタイミングで購入して、その後の値上がりを狙う「セカンダリー投資」は今後も有効だろう。まず、上場後1年以内の銘柄であれば、「調整後に買って業績変化で売る」手法がある。
IPO銘柄も、一本調子で株価上昇を続ける銘柄は皆無に近い。大半の銘柄はいったん調整期間を経て、新たな買い材料が出ることで再び上昇局面に入るというパターンを描く。その材料としては、まず業績の上方修正である。また、東証1部への市場変更に向けた流動性向上を目的とした株式の新規売り出しなども大きな買い材料となる。
実例を挙げてみよう。2016年3月31日に上場したオンライン旅行事業を手がけるエボラブルアジア(マザーズ・6191)は、上場の約3か月後に高値をつけて調整期に入り、株価は大きく下落した。だが、業績の上方修正を受けて反転。さらに東証1部への市場変更を目的に主要株主の株式売却が発表されたため、株価はそれまでの高値の倍近くまで上昇した。
この戦略は、機関投資家の買いを先回りできるという利点もある。機関投資家はIPO銘柄を上場直後に購入することはほとんどない。少なくとも上場後の初決算を経た段階まで待って、業績の変化などから投資判断を下してバイ・アンド・ホールドに踏み切るケースが常である。
したがって、業績の上方修正が発表された直後のまだ株価が安い段階で仕込んでおけば、その後の機関投資家の買いによる株価上昇を享受できる可能性が高いといえる。もちろん、その銘柄を後から機関投資家が購入することが大前提なので、銘柄選びが極めて重要になる。
その際に、「IPOジャパン」のホームページ(https://ipojp.com/)では直近IPO銘柄の上方修正などの開示情報を手軽にチェックできるので、ぜひ活用してほしい。
また、上場後1~2年経った段階で新興市場から東証1部へ市場変更するタイミングを狙う戦略も妙味がある。そうした銘柄を先回りして仕込めれば、大きなリターンも期待できる。
今年上半期でいえば、障害者向け就労支援が主力のLITALICO(マザーズ・6187)、スマートフォン向けニュース配信アプリを手がけるGunosy(マザーズ・6047)、葬儀、お墓、仏壇のポータルサイトを運営する鎌倉新書(マザーズ・6184)などの東証1部への市場変更が有望視される。