3月31日、いよいよプロ野球が開幕する。優勝を狙うチームも上位進出を狙うチームも絶対落としたくないのが開幕戦だが、過去には“悲劇”とでもいうべき形で開幕戦を落としたチームもある。
江川事件(※)に巻き込まれるかたちで巨人から阪神に放出された小林繁は、移籍1年目に22勝をあげ、2年目から4年連続で開幕投手を務めている。
【※注:1978年オフ、江川卓とドラフト制度外で契約した巨人と、ドラフト1位で交渉権を獲得した阪神との間で起きた騒動。江川が一度阪神に入団し、同日中に巨人のエース・小林繁とトレードすることで解決された】
事件が起きたのは4回目。8回まで2安打に抑えていた小林は、雨が降り始めた最終回に4安打を浴び同点に追いつかれる。なおも2死一、三塁。阪神は満塁策に出るが、敬遠しようと高木嘉一へ投じた3球目が、まさかの暴投に──。
「八百長まで疑われたが、サイドスローの小林は上から軽く投げるスナップスローのイップスだったというのが真相。暴投の前の2球目も、捕手の若菜(嘉晴)がジャンプして捕球したほど」(デイリースポーツ元編集局長・平井隆司氏)
小林は開幕戦0勝3敗と、とことん相性が悪かった。
【試合データ】
1982年4月3日(横浜球場)
大洋3×-2阪神(9回サヨナラ)
■取材・文/鵜飼克郎
※週刊ポスト2017年4月7日号