稀勢の里の逆転優勝で盛り上がった大相撲春場所期間中、ニュースやワイドショーを賑わせたのが森友学園問題だ。
12日目にあたる3月23日は、国会で籠池泰典氏の証人喚問が行なわれたため、NHKが大相撲中継を一部、BS1での放送に移すという珍事も起きた。
因縁を感じさせるのは、疑惑渦中の籠池氏の次男が力士だったことだ。2003年に15歳で阿武松(おうのまつ)部屋に入門、同年3月には「籠池」の四股名で初土俵を踏んだが、わずか1年足らずで廃業している。
「籠池はもともと大阪・交野市にあるアマチュア相撲の老舗、『古市道場』に通っていた。古市道場は豪栄道や勢が通った道場としても知られ、籠池は彼らの一つ下の学年だった。角界へのツテは様々あるところなので、阿武松部屋へも入門できた。
この道場はかつて角界を揺るがせた八百長問題の当事者たちが出入りしていたところでもあります。2010年6月には大相撲の野球賭博問題をめぐる恐喝事件で、道場長の長男である元力士が逮捕され、翌年1月には賭博開帳図利の容疑でその弟と母が逮捕されています」(大手紙ベテラン記者)
加えて、この八百長問題発覚の少し前、すでに廃業していた籠池氏の次男もメディアを賑わす騒動を起こしている。
「廃業後に、その経歴を隠した上で新弟子希望者を装って複数の相撲部屋に接触、小遣いをもらったり飲食の接待を受けたりしていたのです。力士は引退後の復帰が協会の規定により認められていないので、新弟子になる資格はない。この一件は2009年に発覚し、部屋側が被害届を出すことはなかったものの、スポーツ紙では『新弟子ごっつぁん詐欺』と報じられた」(同前)
各部屋が新弟子不足に苦しんでいることにつけ込んだ、という文脈で当時は報じられたが、「所属力士が1人増えるごとに協会からの力士養成費が増えるので、どの部屋もとりあえず“頭数”を増やしたい。籠池氏の次男はそうした役回りにおあつらえ向きと思われたのでしょう」(協会関係者)との事情もありそうだ。
籠池氏の次男が、図らずも角界の歪みを浮き彫りにした格好だ。
※週刊ポスト2017年4月14日号