「無料と表示されていたので閲覧したら、法外な料金を請求された」、「未払いの利用料があるとのメッセージがスマホに届き、連絡したら『払わないと訴訟を起こす』と脅された」……こうしたアダルトサイトをめぐるトラブルが相次いでいる。
独立行政法人・国民生活センターによれば、全国の消費生活センターなどに寄せられた相談件数は「アダルトサイトに関する相談」が2011年から2015年まで、5年連続で1位。なかでも際立っているのが、高齢男性が被害に遭うケースだ。
「すでにお金を支払ってしまった」という60代以上の男性からの相談は、2011年度の225件から2015年度は650件と、約3倍に急増。支払ったお金の平均額は30万円を超え、2011年から2016年10月末までに寄せられた相談における合計支払い金額は、約39億7000万円にものぼる。
なぜ高齢男性が被害に遭いやすいのか。国民生活センター相談情報部の井上竜一氏はこう話す。
「60代をすぎた男性は、定年後に自分の時間が増え、現役時代にパソコンを使っていたこともありインターネットで時間を潰す人が少なくない。それでついアダルトサイトを閲覧してしまうのでしょう。しかし、インターネットのリスクに関する知識や認識は若い人たちほどはない。若い人なら仲間うちで相談したり、いざ不当な請求画面が出てきても対処法をパパッと検索できますが、高齢者は総じて不得意です。
定年後ならまとまったお金も持っているし、恥ずかしいという意識が強いせいか、家族はもちろん友人や元同僚などにも相談できず、『バレないうちにさっさとお金で解決してしまおう』と考えてしまいがちです。サイトの運営業者の狙いも、そこにあります」
※週刊ポスト2017年4月14日号