テレビも新聞も連日、森友学園疑惑で一色。当然、ほかのニュースの扱いは小さくなる。これで得をしたのは、築地市場の移転問題で形勢不利になってきた小池百合子・東京都知事だろう。喜んでいるのは霞が関のスキャンダル官僚たちも同じだ。
防衛省では、国会で「廃棄した」と説明していた南スーダンに派遣された国連PKO(平和維持活動)部隊の日報を陸上自衛隊がすべて保管していたことが発覚。組織ぐるみの情報隠蔽の疑いで特別防衛監察が行なわれることになった。
自民党防衛族議員が語る。
「本来なら野党が鬼の首を取ったように国会でこの日報隠し問題を追及していたはず。防衛省は次官をはじめ幹部が処分され、とくに陸自は陸幕長など制服組トップのクビが飛んでもおかしくなかった。それが『日報はすでに公表したから問題ない』という説明でウヤムヤにできそうなのは籠池のおかげだ」
内閣官房副長官補、防衛庁運用局長などを歴任した柳澤協二氏はこう嘆く。
「日報問題もそうだが、本来なら“南スーダンのような危険な場所に自衛隊を出してよかったのか”といった本質的な議論が国会で行なわれるべき。森友学園も政治への信頼という点で重要な話だが、こちらは人の命の問題だ」
大量の処分者を出した文科省の天下り斡旋問題では、同省人事課が外務官僚の大学教授就任を仲介していたことが明らかになり、文科省から外務省に飛び火した。
この問題も「天下りじゃ視聴率が取れない」(民放記者)という理由でテレビは全く報じない。霞が関の役人たちは「文科省で火は食い止められた」(外務官僚)とニンマリしている。
※週刊ポスト2017年4月14日号