人々がお花畑で楽しそうに笑っている天国があり、沸騰した釜の中に入れられた人々が泣き叫ぶ地獄もある──それが我々の想像する「あの世」ではないだろうか。
そんな漠然としたイメージを覆す書籍が3月中旬に発刊された。コラムニストの辛酸なめ子氏と怪談蒐集家の寺井広樹氏が12人の臨死・体外離脱経験者の証言をまとめた『辛酸なめ子と寺井広樹のあの世の歩き方』(マキノ出版、以下『あの世の歩き方』)である。
◆「ガイド」がいる
人が死ぬと、あの世と現世の境界に流れる「三途の川」が目前に現われるというのが、「あの世の入り口」だと考えている人もいるだろう。だが、三途の川に行きつくまでには、いくつかのプロセスを経る必要があるという。
『あの世の歩き方』に登場する体外離脱経験者で、あの世とこの世を行き来することができる技術を持つという坂本政道氏(以下、登場人物はすべて『あの世の歩き方』に出てくる臨死・体外離脱経験者)。坂本氏があの世での体験を語る。
「死ぬとまず現われるのは、三途の川に連れて行ってくれるガイド役です。私が会ったガイドは姿がなく、声や丸い光として現われましたが、死んだ人の宗教観や深層心理によってキリストや観音菩薩など様々な姿で現われるようです」
◆先立った家族がお出迎え
形而上学教師で著述家のクレッグ・ジュンジュラス氏も坂本氏と同様「ガイド」に出会った。彼が見たのは、49年前に亡くなった父親だった。『あの世の歩き方』共著者の寺井氏がいう。
「先立った家族や先祖が現われ、死者を導いてくれることは多い。そのためには、日頃から先祖供養や親孝行をしておくべきです」