総務省の調べによると、高齢者のインターネット利用率は年々増加傾向にあり、80才以上においては、平成23年末と24年末を比較して約2倍にも伸びている。とはいえ、パソコンやスマホといったデジタル機器利用者の高齢化が進んでいるものの、これらの知識や理解は、まだまだ低いのが現状だ。
さらに、こういったデジタル機器に保存されたデータは、個人でのみ管理していて、ネット上でどんな買い物や取引をしているかなど、家族にすら知らせていないケースが圧倒的に多い。そんな中、パソコンやスマホ、デジタルカメラに残された故人のデータ、“デジタル遺品”をどう処理すればいいのかが、今、残された家族の大きな課題になっている。
「デジタル遺品に関する相談で、もっとも多いのは、金銭トラブル。早急に対応をしないと、多大な被害をおよぼすケースがあります」と話すのは、日本セキュリティ・マネジメント学会理事の萩原栄幸さん。
「デジタル遺品によるトラブルに巻き込まれないためには、日頃から家族でコミュニケーションをとることが大切」(萩原さん)
特に金銭が絡む取引をネット上でしている場合、取引内容やパスワードなどを家族にも伝えておかないと、トラブル例にもあるような損害を被こうむることに。また、日本PCサービスの西岡基さんはこう話す。
「デジタル遺品の処理で鍵となるのがパスワードです。パスワードがわからず、パソコン自体が開かないという依頼が最も多いんです」
そもそも、パソコンのパスワードがわからなければ、商取引を引き継ぐことも、メールを確認することもできない。
「すぐにやってほしいのが、パソコンやスマホの起動パスワードなどをまとめ、ノートなどの“紙”に書き、家族がわかる場所に保管しておくことです」(日本デジタル終活協会代表理事、終活弁護士・伊勢田篤史さん)