コラムニストの辛酸なめ子氏と、怪談蒐集家の寺井広樹氏が12人の臨死・体外離脱経験者の証言をまとめた『辛酸なめ子と寺井広樹のあの世の歩き方』(マキノ出版、以下『あの世の歩き方』)が、3月中旬に発刊された。臨死・体外離脱経験者が見た“あの世”は、どんなところなのか?
◆あの世に「閻魔大王」はいない
三途の川の向こう側が目的地の「あの世」だ。そこには、閻魔大王が待ち受けていて、生前の行ないによって「地獄行き」か「天国行き」の審判を下す―というのが定説となっているが……。
「私たちが取材した12人の中に閻魔大王を見たという人はいませんでした。ですが、多くの人は、“天国と地獄は存在する”と話しています」(寺井氏)
◆あの世には音も匂いもない
16歳の時に交通事故で体外離脱したヒーリングアーティストの松尾みどり氏によると、あの世は視覚以外が働かず、ただ静かで穏やかな場だという。
「松尾氏は一度、地獄も見たことがあるそうです。地獄は地下の暗い部屋に無数に棺桶が並び、人々が自ら棺桶に入っていったといいます」(辛酸氏)
◆天国では無数の粒子が人の形になる
7歳の時にダム湖で溺れて臨死体験した自然療法医の小林健氏は、気が付くと暗く広い空間に1人で漂っていた。その時に見た“天国”はこんな様子だったという。
「無数の粒々が漂い、濃い霧の中にいるような感覚にとらわれた。やがて、その粒子がおびたたしい数の人間の形になり、静かにどこかに歩いて行ったそうです」(寺井氏)