中国では都市部でマンションなどの不動産物件を購入するには、都市部の戸籍が必要となるもの。そんな中、上海では地方出身の女性が上海市内のマンションを所有できるように、上海の不動産会社勤務の男性社員が女性と結婚、さらに離婚を繰り返し、4回も偽装結婚をしていたことが分かった。その報酬は1回につき、約8万元(約140万円)で、ネット上では「カネのために、そこまでやるか」などとの驚きの声があがっている。
中国国営の中央テレビ局が報じたもので、放送では、この男性は「王」という苗字しか明らかにされず、だれか分からないように、顔の部分にぼかしが入った状態でインタビューに答えている。
王氏はこのような偽装結婚を繰り返した理由について、「我々の会社が抱えている物件を売りたかったのと、それに伴う報酬も魅力だった」と話している。結婚した女性はすべて地方から上海に出てきている農民工(出稼ぎ労働者)で、そのなかには70歳の女性もいたという。
中国では不動産物件を転売目的で購入するケースが多く、値上がりを待って売り、儲けようとする傾向が強まっており、不動産物件のバブル崩壊の危険性が指摘されている。このため、不動産物件の購入件数の制限や、物件購入は地元の戸籍保持者に限定するなどの規制が強まっている。
偽装結婚は法の網をくぐり抜ける有効な方法で、この王氏も売上を伸ばすために、自らの戸籍をいじる道を選んだようだ。結婚した女性は王氏が不動産物件を購入した形にして、その後、名義を配偶者である女性に変えて、所有権が完全に移った段階で、離婚していたという。
王氏は物件を売るために、4度も結婚と離婚を繰り返しているが、法的には取り締まる罰則規定はいまのところないが、中央テレビは「悪質な手口であり、取り締まりが必要だ」などと批判的に報じている。
また、ネット上では「不動産物件の購入する際、どちらかが地方出身者で地方戸籍しかもっていない夫婦の場合、結婚年数が3年以上でないと不動産物件を購入できないようにするなど結婚年数に規制を設けるべきだ」などとの書き込みもみられる。