中国政府が河北省雄県などを中心とする3県に新たな経済新区を建設すると発表したが、北京などから不動産業者が大挙して押し寄せたため、建設予定地の不動産価格が一夜で4倍以上に急騰したことが明らかになった。
県政府はこれ以上の不動産の高騰を懸念して、地元の不動産業者に取引禁止を通達。違反した不動産会社100社が営業停止処分を受け、経営者ら7人が逮捕されるなど大混乱に発展している。中国紙「経済観察報」などが報じた。
建設が発表されたのは河北雄安新区で、中国の重要経済政策を立案・実行する中国国家発展改革委員会の何立峰・委員長(閣僚級)は同区について「習近平同志を核心とする党中央が北京・天津・河北の共同発展、北京の非首都機能の秩序ある分散を深いレベルで推進するために打ち出した重大な政策決定だ。雄安新区は深セン経済特別区、上海浦東新区に続く全国的な意義をもった新区であり、国の一大事業だ」とぶち上げている。
つまり、「改革開放の総設計師」であるトウ小平氏と江沢民・元国家主席と同じく「党中央の核心」と位置付けられた習近平国家主席がトウ、江両氏と同じく、中国を代表する経済都市を建設しようとしているのが、今回の雄安新区建設プロジェクトというわけだ。
トウ氏は深セン経済特区を、江氏は上海の浦東地区を建設しており、習氏は同新区というわけで、習氏の威信をかけた国家の最重要プロジェクトであり、「1000年大計画」と意義付けられている。
何委員長によると、雄安新区の計画範囲は河北省の雄県、容城、安新の3県とその周辺地域に及び、北京から南に100km、天津からも西に100kmと両氏に囲まれた地域。計画では特定地域をスタートエリアとして先行開発し、面積は約100平方kmだ。発展中期の建設エリアは約200平方km、将来的には約2000平方kmの新区を建設するという雄大なもの。
これだけ壮大な計画のため、建設予定地の不動産価格は値上がり間違いなしで、不動産業者が飛びつかないわけはない。発表当日の4月1日には北京や天津などの不動産業者が押し寄せ、不動産価格は4倍に跳ね上がった。また、新区と関係がある企業の株価がストップ高になった。