1961年に放送開始となったNHK『みんなのうた』。NHKのテレビ・ラジオで放送されている5分間の音楽番組で、これまでその時代を代表する1400曲以上の国民的愛唱歌を生み出してきた。子供から大人まで、幅広い世代から支持を集めている同番組は、2か月ごとに楽曲が変わるのだが、この春、その選曲に大きな注目が集まった。
V6の『太陽と月のこどもたち』、AKB48の『願いごとの持ち腐れ』と並んで選ばれた半崎美子(36才)のメジャーデビュー曲『お弁当ばこのうた~あなたへのお手紙~』。愛情のこもった弁当を手紙代わりに、子供の成長をそっと見守る母の姿が描かれたこの歌が話題になっている。
というのも、V6とAKB48の歌は、これまでのセオリー通り、2分20秒の放送。しかし半崎の歌は4分40秒のフルバージョンで放送されているのだ。同番組のエグゼクティブプロデューサー・高橋良次さんがその理由を明かす。
「ぼくたちにはたくさんの曲をみなさんに届けたいとの思いがあって、ここ数年は2分20秒をベースにしています。ただ半崎さんの曲にはストーリー性があるのでカットすることなく放送することにしたんです」
半崎の曲は、同番組のために1年以上の時間をかけて書き下ろされたものと言うが、まだデビュー前の、まったく無名の歌手に、どうして白羽の矢が立ったのか?
「『みんなのうた』は、聴いているかたの夢とか希望の配達人になってくれる人に楽曲提供をお願いしています。彼女の歌、もっというと彼女の生き方に共感して、ぼくたちの方から“ぜひお願いします”となりました」(高橋さん)
実は『みんなのうた』が決まる前の昨年1月、半崎はNHKラジオ『午後のまりやーじゅ』にも出演している。その時の反響を同番組ディレクターの広瀬玲さんが言う。
「正直、メロディーなどは、ものすごく新しいという感じはしないんですが、やっぱり声ですかね。放送中からすごい反響で、“感動しました”“どこでCDを買えますか”という問い合わせが多数ありました」
◆「チャレンジしない意味が私にはわからない」
36才。デビューの年齢としては決して若くはない。19才で音楽に目覚め、生まれ育った北海道から、縁もゆかりもない東京へ乗り込んでから16年あまり。ようやく彼女は花を咲かせた。早くも新聞やテレビ、雑誌などで特集されているのは、その経歴、歌声もさることながら、なぜか彼女の周りに“大物”が集まっていることも無関係ではない。
昨年12月には桑田佳祐(61才)が自身のラジオ番組で半崎の『ふたりの砂時計』を取り上げた。それも「2016年の邦楽シングル・ベスト10」として。
笑福亭鶴瓶(65才)が、半崎が両親のことを歌った『永遠の絆』を自身のラジオ番組で流したのは2009年のこと。東日本大震災直後にできた『希望の桜』は、鶴瓶が名付け親だ。
しかし、そもそも半崎は、どうやって鶴瓶と知り合ったのか? 半崎は懐かしそうに語った。