4月5日朝8時、宝塚市立スポーツセンター総合体育館では軽快な太鼓の音が響き始めた。大相撲春巡業・宝塚場所の開場を告げる「寄せ太鼓」である。かつては早朝に鳴り響いていたが、騒音規制の条例ができてこの時間になったという。
待ちかねていた観客が次々に場内へ飲み込まれていく。タマリS席1万4500円から、1階椅子S席1万円、2階椅子C席3500円と各種ある入場券は、昨年11月に売り出され、わずか2週間で完売。3200席は「満員御礼」となった。
多くのファンのお目当てだったはずの横綱・稀勢の里は、春場所で傷めた左肩の回復を優先して休場。
「田子ノ浦親方が協会に提出した診断書には『左大胸筋損傷ならびに上腕二頭筋の損傷で1か月の療養が必要』と書かれていた。
ただ、春巡業が始まった翌日の4月3日には、稀勢の里は部屋での稽古を再開。高安は巡業中で真剣な稽古になる相手はいないが、ウォーキングの後、土俵に降りて四股を踏み、1時間ほど汗を流した。周囲には“来場所には間に合う”と話しているそうです」(担当記者)
一方で、あまりに早い稽古再開は、春巡業への“途中強行出場”を探っているからとみる向きもある。若手親方の一人がいう。
「春巡業のなかでもとりわけ、4月16日に故郷・茨城県で行なわれる常陸大宮場所(常陸大宮市・西部総合公園体育館)に、稀勢の里は出場したいと考えているようだ。春場所もケガをおして強行出場した責任感の強い男です。故郷のファンをがっかりさせたくないという思いは強い。
常陸大宮場所に間に合わなくても、その5日後、茨城県水戸市での巡業(4月21日、水戸市青柳公園市民体育館)にはなんとか出ようとするのではないか。あの部屋では、いったん横綱が出ると腹を決めてしまえば、元前頭という実績の親方が止めるのは難しい」