ビジネス

公営や官営が大嫌いな大前研一氏が提唱する「宅配公社」構想

大前研一氏が提唱する「宅配公社」構想とは

 ドライバーの人手不足、荷物量の急増などによって宅配便業界が崩壊寸前だと言われている。この危機的な状況を打開するには、どうしたらよいのか。経営コンサルタントの大前研一氏は、荷物を届ける最後の「1マイル(1.6km)」の配送の方法を公営もしくは官営にすべきだと提案している。

 * * *
 ドライバーの長時間労働が問題となっている宅配便最大手のヤマト運輸は、荷物の急増と人手不足で厳しさを増しているドライバーの労働環境を改善するため、宅配便の基本料金を27年ぶりに引き上げるとともに配達時間指定サービスの見直しや再配達の受付時間を短くすること、荷物量を適正な範囲に抑えることなどを決めた。

 この問題については様々な議論が巻き起こっているが、私はすでに約20年前からラストワンマイル(最後の1マイル)の配送を1社に集約する「宅配公社」構想を提案している。なぜなら、日本の住宅は不在率が高いため、宅配便にしろ郵便にしろ、ラストワンマイルにお金と手間がかかりすぎているからだ。近年はタワーマンションや大規模マンションが増えたため、ますますラストワンマイルが遠くなっている。

 一方、ユーザーの側からすると、宅配便だけでなく新聞や郵便物、投げ込みチラシなどを届ける業者が、入れ代わり立ち代わり玄関やポストにやってくるのは、時に煩わしいものだ。お中元やお歳暮のシーズンは、1日に何枚も不在連絡票が入っている家も珍しくない。そこで、このラストワンマイルの配達を1社に集約すれば、物流の効率は飛躍的に向上する。その具体的な方法が宅配公社の設立だ。

 私はもともと「公営」や「官営」は大嫌いな人間だが、ラストワンマイルだけは公営あるいは協同組合にすべきだと思う。やり方は二つある。一つは自治体ごとに宅配公社を設立するという方法で、これは自治体の財源にもなる。

関連記事

トピックス

氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン