自主規制ばかりが蔓延するテレビの世界。そんな窮屈になった“ギョーカイ”を、自著『テレビじゃ言えない』(小学館新書)が好評発売中のビートたけし氏が叩っ斬る!
* * *
いまテレビ局はどこも新しいコンテンツを生み出せなくて苦しんでる。ウケているのは『笑点』みたいなジジイ・ババア向けのマンネリ番組ぐらいだ。だから、現場もどうしていいかわからなくなってるんだろう。
だけど、茶の間にウケているかどうかを「視聴率」で判断する時代も、そろそろ終わりじゃねェか。
これだけ裏番組録画が普及しちゃうと、本当に観たい番組は何度も見れるように録画して、どうでも良い番組は生でボーッと見るから、かえって視聴率が良くなってしまうのかもしれない。
きっとテレビが一番魅力的に映るのは、やっぱり「予測不能」なことが起こったときだ。バカそうなヤツがバカをやっても、マジメそうなヤツがニュースを読んでも、まるで面白味がない。
いつの時代も究極のエンターテインメントってのは「王様がドジをする」ことなんだよ。
今の時代なら、安倍首相がマヌケな格好でドジをやらかすようなギャップを見せることだね。20年前はバリバリのアイドルのSMAPがお笑いをやることが新しかった。今じゃもう一歩進んで、政治家がお笑いやバラエティをやる時代になったのかもしれない。
まァ、森友学園問題やらを見たって、あの人たちは国会でもお笑いをやってるんだけどさ。
※SAPIO2017年5月号