◆熊本:「引退に追い込まれるのは野田か、園田か」
自民独占県の熊本には2区の野田毅氏(75)と4区の園田博之氏(75)という2人の長老がいる。財務省OBのドンである野田氏は安倍首相の消費増税見送りに反対して前回総選挙で「公認見送り」が検討され、園田氏も1993年に自民党を離党して以来、四半世紀近く政党を渡り歩き、2年前に復党した出戻り組だ。
県連関係者は、「どちらが先に引退を決断するか」と注目しているが、「新区割りは4区と5区が合併する可能性が高いとみられている。両者とも粘った場合、園田先生は師弟関係の5区の金子恭之代議士との間で話し合って調整するのではないか」ともいう。
◆鹿児島:「4枠に自民6人。奄美の“島主”に戦々恐々」
さらに複雑なのが鹿児島。次の選挙では自民党現職5人で4議席を争う1人オーバーの状態で、「県連は77歳の保岡興治氏(1区)に引退してもらい、後継者を立てさせないために医師会や農政連を通じて“3代目の世襲は認められない”といわせている」(地元議員)と保岡おろしの真っ最中だ。
しかし、問題はその先だという。
「鹿児島には本当のところ4枠に自民党が6人いる。徳洲会事件の連座制が適用されて5年間の公民権停止中の徳田毅が、次の次の選挙には必ず出てくる。徳田氏は奄美群島区では圧倒的な集票力を持っており、出馬する場合は新区割りで奄美が入る選挙区から出る。そのため現職は区割りで奄美が自分の選挙区になってほしくないと押し付け合っている」(県連幹部)
◆奈良:「馬淵ババ抜きゲーム」
「誰が民進の強敵と戦うか」が注目されているのが奈良だ。定数1減で4選挙区が3選挙区に再編され、自民党現職は高市早苗・総務相などちょうど3人、選挙区はうまく分けることができそうだ。
ところが、奈良1区には選挙に滅法強い民進党の馬淵澄夫・代議士が控えている。
「馬淵さんは5回連続小選挙区で当選中。自民党の代議士は本音ではみんなぶつかりたくない。選挙区が重なりそうなのは同じ奈良市を地盤とする2区の高市大臣になるが、思いきった選挙区の交換もないとはいえない。椅子取りゲームというより、誰が馬淵の選挙区を引き当ててしまうかのババ抜きですよ」(自民党県連関係者)
その高市氏は2003年総選挙で馬淵氏に敗れて議席を失い、その後2区に回った経緯がある。再戦となれば、まさに死闘が展開されそうだ。