国会では最高裁で違憲判決を受けて衆院選の「1票の格差」是正のため、次の総選挙で衆院定数を10減らすこと(選挙区6減、比例代表4減)を決めた。青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県でそれぞれ定数1減となるが、影響は全国に及ぶ。2020年の人口推計をもとに、人口最小の鳥取1区との「1票の格差」が2倍を超える東京はじめ都市部の小選挙区で線引きの大幅見直しが行なわれる。選挙区割り変更は全国100近くにのぼると見られている。
現在、政府の衆院選挙区画定審議会(区割り審)が新区割り案を策定中で、今月中にも発表される見込みだ(最終期限は5月27日)。
定数削減の6県では、これからサバイバルが始まるが、実は、自民党本部でも定数削減県の候補者調整は全く白紙の状態。責任者として“火中の栗”を拾わなければならないのは二階俊博・幹事長だが、「二階さんはどう決めても大揉めに揉めることがわかっているから、まだ手を付けようとはしていない。総選挙がいよいよ近づいてから“エイヤァ”でやるしかないと考えている」(選対幹部)というのだ。
しかし、区割り審が定数10減の新区割りを答申すれば、自動的に安倍政権が新区割りの法案を提出し、与野党合意で今国会中に成立する。周知期間は公布後わずか「1か月間」だから、解散が8月以降になれば新区割りでの総選挙となる。
そんな短期間で候補者調整がまとまるとは思えない。だからこそ、支持率が徐々に下がる中でも、自民党に「安倍さん、今のうちに解散して」の叫びが引きも切らないのだ。
※週刊ポスト2017年4月21日号