ここに1枚の写真がある。撮影された場所は東京・羽田空港。意味深な流し目を送る安倍晋三首相(62才)の隣で、両手を体の正面で重ねてうやうやしく頭を垂れるのは昭恵夫人(54才)だ。いつもの天真爛漫な笑顔はそこにはない。奥歯をぐっと噛みしめ、緊張しているのかぎこちない微笑みが口元に浮かんでいるようにもとれる。泣くとも笑うともつかない、感情の高ぶりが抑えられないという表情だ。そんな彼女の顔を覗き込むように正面に立たれているのは、皇后・美智子さまである。
この1枚は、去る2月28日に撮影されたもの。天皇皇后両陛下はその日から1週間の日程で、ベトナムとタイを訪問された。両陛下が飛行機に乗り込まれる直前、滑走路の手前で皇太子ご夫妻をはじめとした皇族方や安倍首相夫妻、衆参議長らが見送りに立ったシーンだ。
朝日新聞(2月9日付朝刊)の報道に端を発した森友学園スキャンダルは、その日までに国会や各メディアで大きく取り上げられ、昭恵さんへの逆風が過熱の一途をたどっていた、ちょうどその渦中のことだった。
「お見送りは両陛下が外国訪問をされる際の恒例行事。両陛下はレッドカーペットに沿って一列に並ぶ見送りの一行の前に順に立たれ、ひと言ふた言ほど言葉を交わされます。飛行機の離陸時間も差し迫っていますから、両陛下からは“忙しい中、見送りをありがとう”。対して“お気をつけて行ってらっしゃいませ”といった程度の簡単なやりとりがなされているといいます」(宮内庁関係者)
それにしては、昭恵さんの浮かべた感極まったような複雑な表情は、一体なんなのだろうか。ある政治ジャーナリストが指摘する。
「さすがに騒動の渦中の人ですから、昭恵夫人は人前に出ることを憚り、お見送りを欠席するということもあり得ました。ところが、昭恵夫人は出席し、最初は神妙な面持ちだったようですが、帰るときにはどことなく晴れやかな笑顔を浮かべていたそうです。
飛行機に乗り込む前、皇后さまがどんな言葉を昭恵夫人にかけられたのかはわかりませんが、皇后さまは天皇陛下と同じく、政治的な発言は細心の注意を払って避けられていますし、政治家やその関係者へのお声掛けにも気を使われます。恐らくはいつも通り“お見送りに対する労いの言葉”だったのでしょう。しかし、昭恵夫人の表情から察するに、その言葉を騒動の渦中にある自分への“励まし”や“慰め”と捉えてしまったのかもしれません。昭恵夫人は、物事をよい方に受け取ってしまうきらいがありますから」
実際に、全国紙や週刊誌では「森友学園の騒動を踏まえて皇后が気遣いをもってお声掛けされたのではないか」とか「皇后のお言葉を聞いた昭恵さんが『ありがとうございます』と声を上げ、感極まって涙を流した」などと報じられた。
本誌取材では“涙を流した”という事実は確認できなかったものの、昭恵さんには“労いの言葉”を大きく「勘違い」しかねない土壌があった。