国会では最高裁で違憲判決が出された衆院選の「1票の格差」是正のため、次の総選挙で衆院定数を10減らすこと(選挙区6減、比例代表4減)を決めた。青森、岩手、三重、奈良、熊本、鹿児島の6県でそれぞれ定数1減となるが、影響は全国に及ぶ。人口最小の鳥取1区との「1票の格差」が2倍を超える東京はじめ都市部の小選挙区で線引きの大幅見直しが行なわれる。選挙区割り変更は全国100近くにのぼると見られている。
現在、政府の衆院選挙区画定審議会(区割り審)が新区割り案を策定中で、今月中にも発表される見込みだ(最終期限は5月27日)。
この影響を被る東京選出の自民党議員たちの不安を駆り立てているのが公明党票の動向。都議選で都民ファーストの会と選挙協力を結んだ公明党は、国政選挙は従来通りに自民党と選挙協力する方針とはいえ、苛立った自民党幹部から「嫌われた女房が騒いでいるだけ。出ていけるものなら出ていけ」という発言が飛び出すなど関係悪化は明らかだ。
「区割り変更後も公明票をもらうためには、選挙区に編入される地域の創価学会組織に挨拶をして支持者に一から顔と名前を覚えてもらわなければならない。しかし、都議選で反自民に回った公明党支持者に“次の選挙は自民党の××に入れてください”といってどれだけ票が来るか疑問。公明票の取りこぼしが増えることを覚悟するしかない」(東京選出議員)
都内に貼られた公明都議と小池百合子・都知事の2連ポスターを見るたびに、“1票が逃げていく”と実感するのだという。
※週刊ポスト2017年4月21日号