芸能

春風亭一之輔 「落語はすごい。外国人も笑うツボが一緒」

控室でネタ帳を読み返す春風亭一之輔

 春風亭一之輔(39)が21人もの先輩二ツ目を抜いて真打ちに昇進したのは、2012年、34歳のときだった。落語協会の柳家小三治会長は「久々の本物だと思った。芸に卑屈なところがない。しかも人をのんでかかっている」と太鼓判を押した。「天与の才」だとも評した。一之輔は、こう振り返る。

「嬉しくはあったけど、これから疎まれたり、妬まれたり、どういう目に遭うかわからないし、断わるという選択肢もあると思ったんです。でも、僕には負けず嫌いなところもあって、囃されたら踊れ、と受けさせていただいた」

 それから5年。いまや落語会や寄席で高座に上る回数は、年850回を数える。よどみなく繰り出される言葉は歯切れよくリズミカル、はさむギャグは冴え、ときに艶も漂う。それゆえか、客席には、20代から40代の女性も少なくない。新世代の匂いを放ちながら、古典落語の世界を見事に表現できる落語家なのである。

 一之輔は、真打ち昇進前に結婚し、いまでは、2男1女の父親である。最近では、「まくら」で子育ての話をすることも少なくない。

「子供が生まれる前は、高座で子供の話をするのは、なんか所帯じみていて嫌だと思っていた。でも、子供が生まれたら、しない手はないなとすぐに気づいてしまいまして(笑い)」

 一之輔の得意な噺のひとつに「初天神」がある。

「何も買わない」という約束で初天神のお参りに出かけたお父っつぁんと息子の金坊。初めはおとなしかった金坊だが、やがて大人顔負けの口八丁で、飴を買って、団子を買ってとねだり出す。その後は屋台の親父をも巻き込んでの大騒動という父子の噺である。

「『初天神』を覚えた頃は、演じてもしっくりこなかったんです。でも自分に子供ができて、その表情とかを見ていると、ああ、これはこういうことなんだなとわかってきた。子を持つ親の気持ちもよくわかって、自分と噺がシンクロし始めたんです」

 今年39歳になった一之輔は、それでもまだまだ経験が必要だという。

関連記事

トピックス

再ブレイクを目指すいしだ壱成
《いしだ壱成・独占インタビュー》ダウンタウン・松本人志の“言葉”に涙を流して決意した「役者」での再起
NEWSポストセブン
来春の進路に注目(写真/共同通信社)
悠仁さまの“東大進学”に反対する7000人超の署名を東大総長が“受け取り拒否” 東大は「署名運動について、承知しておりません」とコメント
週刊ポスト
司忍組長も傘下組織組員の「オレオレ詐欺」による使用者責任で訴訟を起こされている(時事通信フォト)
【山口組分裂抗争】神戸山口組・井上邦雄組長の「ボディガード」が電撃引退していた これで初期メンバー13人→3人へ
NEWSポストセブン
『岡田ゆい』名義で活動し脱税していた長嶋未久氏(Instagramより)
《あられもない姿で2億円荒稼ぎ》脱税で刑事告発された40歳女性コスプレイヤーは“過激配信のパイオニア” 大人向けグッズも使って連日配信
NEWSポストセブン
俳優の竹内涼真(左)の妹でタレントのたけうちほのか(右、どちらもHPより)
《竹内涼真の妹》たけうちほのか、バツイチ人気芸人との交際で激減していた「バラエティー出演」“彼氏トークNG”になった切実な理由
NEWSポストセブン
ご公務と日本赤十字社での仕事を両立されている愛子さま(2024年10月、東京・港区。撮影/JMPA)
愛子さまの新側近は外務省から出向した「国連とのパイプ役」 国連が皇室典範改正を勧告したタイミングで起用、不安解消のサポート役への期待
女性セブン
チョン・ヘイン(左)と坂口健太郎(右)(写真/Getty Images)
【韓国スターの招聘に失敗】チョン・ヘインがTBS大作ドラマへの出演を辞退、企画自体が暗礁に乗り上げる危機 W主演内定の坂口健太郎も困惑
女性セブン
第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン