夫婦の日常も様々だが、あらゆる夫婦のエピソードが、漫談家の綾小路きみまろにメールや手紙で続々と寄せられている。今回寄せてきたのは、食品メーカー勤務のご主人(47歳)。奥様(42歳)は、ちょっぴり天然です。
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付き合っていた頃、喫茶店で待ち合わせ。入ってきた女房は、僕ではなく、知らない男の人の席に後ろから近づき、いきなり目隠しをして「だ~れだ?」。女房の手を引っ張り、喫茶店を飛び出しました。こんな風に、赤面エピソードは数知れず。
今年の1月、京都旅行の新幹線の中でやらかしてくれました。トイレに行った女房。戻ってくると、我々の3席前に座っていた中年男性の後頭部をピシャリとひっぱたき、「ハゲとるやないかい!」。
女房は、漫才コンビ・フットボールアワーの後藤さんが、相方の岩尾さんの後頭部を見て「ハゲとるやないかい」と叩くネタが大好きなんです。「一度やってみたいけど、アナタはフサフサだから」。その欲求不満が「ここにいた!」と標的を見つけ、実行してしまったわけです。もちろん、僕も一緒に土下座で平謝りです。
京都では清水寺や祇園を見学。「『清水の舞台から飛び降りる』っていうけど、高さは地上約12メートル、4階建てのビルと同じなんだ」「祇園社、今の八坂神社の門前町だったから、祇園っていう地名がついたんだ」。僕の説明に頷く女房。
すると、おっ、江戸時代の絵師、伊藤若冲の生誕300年展を相国寺でやってるぞ! 会場で、女房にウンチクを語ろうとすると、「知ってる! 私、ワカオキの大ファンだから」。ワ、ワカオキ? 「じゃくちゅうだよ!」。僕が耳元で囁くと、「白鳥? ニワトリの絵ばっかりよ」。周りの失笑に耐えられず、一目散で会場を後にした僕でした。
※週刊ポスト2017年4月28日号