実際に会ったときはおとなしいのに、ネット上では勇ましくなる人がいる。SNSの時代になり、読んでくれる人にウケようと、発言が過激になる人も目立つ。ネット上の振る舞いと実生活は別のものだと発信する本人は思っていても、それを読む人はそう受け取るとは限らない。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、ネットでの言動はどうあるべきかについて考察する。
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最近雑誌やウェブの編集者が、連載執筆や取材を依頼するにあたり、重視しているのが「SNSでの情報発信」である。フォロワーが多い人が告知をしてくれ、販売部数やアクセス数が増えることを期待する。だからこそ、ライターであろうとも、自分が関わった記事が掲載されたら「この1か月間取材してきた大作がようやく日の目を見ました♪」なんてツイートをする。かくして、発注主は「よしよし、愛いヤツよのぅ、もっと宣伝頑張るのだぞ。また仕事出してやるからな」と思うのである。
ただし、逆もある。どんなに優れた書き手や高い知名度を持った人物であろうとも、仕事の内情を暴露したり、編集者や会社の悪口をSNSに書き、発注側を無能な悪者に仕立て上げる人は敬遠される。
最近、雑誌編集者と喋ったが、SNS上での発言が、仕事を依頼するか否かの大きな基準になると語っていた。何しろ、「小学出版のバカ編集者の中川の野郎は直前になって企画を変えてきやがる。いい加減にしろ」などと実際に書いてしまう人もいるのだ。
すると、支援者から「本当にひどい扱いですね。〇〇さんへの敬意が足りないそんな仕事は切りましょう」などのメッセージが届くため、発信者はますます気持ちよくなり、悪口を書き続ける。発注側にも言い分はあるものの、仮にネットで反論でもしようものなら、一斉に〇〇さんの支援者から攻撃を食らって炎上。
一般企業でもこれは同じで、知り合いの営業マン・Zはとにかく顧客の悪口ばかりフェイスブックに書いている。「友だち限定」の公開にしているのだが、実際Zに仕事を頼むのは、「友だち」でもある上司や同僚である。現在、Zは社内で危険分子扱いされ、いつフェイスブックをやめさせるかも上司は協議しているという。