観光地・鎌倉を代表する銘菓「鳩サブレー」をめぐって騒動が巻き起こっている。「鳩サブレー」を製造しているのは1894年創業の老舗菓子店「豊島屋」だ。鶴岡八幡宮に続く参道「若宮大路」通り沿いにある。豊島屋本店前にはベンチが置かれ、通りを散策する観光客の休憩所となっていた。ところが4月初旬、そのベンチが突如、撤去されてしまったのだ。
発端は、鎌倉市議・長嶋竜弘氏が昨年11月に市議会に提出した質問書。そこにはベンチについて、「(鎌倉市の)許可を得ていなければ法令違反にあたるのではないか」と記されていた。
この指摘を受けて、豊島屋はベンチを撤去。その代わり、〈皆様にご愛顧いただいておりましたベンチを長嶋竜弘鎌倉市議会議員のご指摘により撤去いたしました〉と書かれた紙を店の前に貼り出したのだ。しかも、あてつけのように長嶋氏の名前の部分は大きな太字で強調されていた。
このベンチ撤去に関して、地元住民や観光客の間では「一休みするのにちょうど良かったのに」という声が上がる一方で「あんな敵意剥き出しの貼り紙をするなんて幼稚すぎる」と豊島屋を非難する意見も出ている。
双方に主張を聞いてみた。まず豊島屋はこう答える。
「昭和50年代からずっと設置していたベンチです。あるお客様から『撤去させたのは誰なんだ?』という質問をいただいたので、長嶋議員の名前を書いた紙を貼らせてもらったんです。“議員のご指摘により”撤去したのは間違いありませんから」