「天皇陛下の呼称は『上皇』に、美智子さまは『上皇后』に」
「両陛下のお住まいは、現在皇太子ご一家が暮らされている東宮御所へ移る」
「すでに複数の古典文学者らが、新たな元号案を政府に提出している」
ゴールデンウイーク明けの特例法案の国会提出を前に、天皇陛下の「生前退位」が急に現実味を帯び始めた。退位の時期は2018年12月下旬が濃厚。つまり、来年いっぱいで「平成の世」が終わるということだ。事務方の調整も急ピッチで進められている。
「宮内庁の人事異動は毎年4月ですが、今年は定年退職などを除いて、目立った人員の配置換えが行われませんでした。今後、生前退位に関する業務で忙しくなるので、慣れたポストに留め置かれたということなのでしょう」(宮内庁関係者)
目前に迫ったといっていい生前退位。呼称や住居は決まりつつあるが、気になるのは両陛下の実際のお暮らしだろう。宮内庁関係者はこんな言い方をする。
「退位された後の両陛下のお姿を見ることは、ほとんどなくなってしまうのではないか…」
皇室ジャーナリストの山下晋司氏が解説する。
「天皇陛下が退位されれば国事行為はもちろん、公的行為も新天皇となる皇太子殿下に引き継がれます。つまり、公務といわれるものはほとんどゼロになるだろうということです。宮中晩餐会や園遊会といった皇室全体の行事にも出席されないのではないかと思っています。その場には新天皇皇后がいらっしゃいますから、“象徴の二重構造”を作りかねないのと、新天皇皇后にプレッシャーを与えたくないというご配慮もあるでしょう」
陛下は、大正天皇の病気療養のため昭和天皇が摂政についた時のことを引き合いに出され、皇室内部が「大正天皇を支える勢力」と「摂政を支える勢力」に二分されてしまった過去を嘆かれたことがあったという。加えて即位直後の陛下は昭和天皇と比較されることが多く、新たな試みを行おうとすれば「先代のほうが…」と批判に晒されたこともあった。
「音楽会やご旅行など私的なご活動はされるでしょうが、そのご様子が報道されると国民は新たな天皇皇后より今の両陛下への信頼や敬愛を大きくもったまま時間が過ぎていくことになるでしょう。かといって、新天皇皇后が広く国民に受け入れられるのを早めるために、現両陛下のご活動が制約されるのも好ましくありませんので、両陛下のご様子がほとんど報道されなくなる可能性もあります」(前出・山下氏)
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2017年5月4日号