私たちが利用する「コンビニ」や「銀行」など様々なジャンルのサービスに関する顧客満足度はどうなっているのか。『女性セブン』(3月9日号)に掲載された、「顧客満足度調査」(2016年度 サービス産業生産性協議会調べ)のランキング上位と、専門家やユーザーのコメントを紹介する。(2017年4月22日更新)
◆飲食業
︎ファストフード(丼・麺・カレー含む)
1位『モスバーガー』
2位『丸亀製麺』
3位『リンガーハット』
「『モス』はほかのハンバーガーチェーンより少し高めですが、国産の生野菜を使用していて、ヘルシー感がありますよね。『丸亀製麺』は昔に比べて値上がりしたものの、1000円あればかなりのボリュームが食べられる。コスパは最強です。同様に『リンガーハット』も国産野菜や小麦を使ってボリューム感があります」(経済評論家・平野和之さん)
︎レストランチェーン
1位『くら寿司』
2位『びっくりドンキー』
3位『スシロー』
「『くら寿司』の価格は『スシロー』や『かっぱ寿司』よりは少し高いものの、養殖ではない地魚を安く仕入れて使うとか、無添加にこだわるといったふうに、健康志向の点が評価につながっていると考えられます。また、寿司以外のサービスを打ち出しているのも特長です。仕入れ食材などを直接販売し、利益だけではない安心感、親近感を与えていますね」(平野さん)
『びっくりドンキー』が上位の理由はズバリ、ハンバーグ。
「やっぱりハンバーグは誰もが好きで家族ウケがいい。以前は女性ウケのするお店の方が顧客満足度が高い傾向にありましたが、最近は3世代のファミリーで行けるお店が選ばれていると思います」(平野さん)
◆小売業
コンビニエンスストア
1位『セイコーマート』
2位『セブン-イレブン』
3位『ローソン』
1位の北海道ローカルチェーン『セイコーマート』に首を傾げた人も多いかもしれないが、証券アナリストの本田康博さんは「調査方法が結果に影響している」と話す。
「調査の対象となったのは、そのコンビニを1か月に2回以上使う人。『セイコー』の場合、北海道在住で近くに他の店がない人が多い。『セイコー』との比較対象がないから、満足度が高まりやすい」
『セブン-イレブン』は2016年の『好きなコンビニランキング』(スーモジャーナル)では約53%の支持を得てぶっちぎりの1位。
「『セブン-イレブン』は商品力、品ぞろえ力、徹底力のすべてにおいてNo.1。バイトの接客も均一だし、新しいサービスを導入したら徹底的にやる。100円コーヒーもそうだし、エンタメとのコラボもローソン『ローチケ』の専売特許だったはずなのに、いつのまにかセブンも強くなっていった」(流通ジャーナリストの渡辺広明さん)
︎スーパーマーケット
1位『OK』
2位『ヤオコー』
3位『ベイシア』
「“安さ”が際立ったスーパーが選ばれた印象にあります。中でも『OK』は店舗に行くと、“オネスト(正直)カード”が目を引く。例えば、『グレープフルーツは今、品質が悪いからおすすめしない』とか『この商品は売れ数が少ないから品をそろえられない』とか、正直に書いてあって、信頼できる。
2位の『ヤオコー』は“提案型”。ちょっと変わった調味料を並べていたり、野菜売り場で料理の作り方を教えてくれたり、ワクワクさせてくれるところが期待を上回ったんでしょう」(渡辺さん)
︎生活用品店/ホームセンター
1位『無印良品』
2位『セリア』
3位『東急ハンズ』
いずれも商品の品質や品ぞろえが評価の対象に。ただ『無印良品』や『東急ハンズ』に比べるとマイナーな印象の100均ショップ『セリア』。実は有名人にもファンが多い。
「ヒロミさんは店に在庫がないと取り寄せるほど。森泉さんも、テレビでセリアを使ったDIYを披露していたりしているから、ちょっとしたプレミア感があるんです」(東京都在住の30代主婦)
︎衣料品
1位『earth music&ecology』
2位『ハニーズ』
3位『GAP』
「『earth music&ecology』はいち早くファッション通販『ZOZOTOWN』と連携し、店舗のない地域でも買うことができるようにした流行感度が順位に関係しているのでしょう。同じように若い女性向けの洋服を扱う『ハニーズ』は3か月ごとに商品を入れ替えてお客さんを飽きさせずに、安くても最先端のファッションが常に楽しめるよさがあります」(平野さん)
︎携帯電話
1位『Y!mobile』(PHS)
2位『Y!mobile』(スマホ)
3位『ドコモ』(ケータイ)
「『Y!mobile』のPHSは前身である『ウィルコム』からの継続利用者がほとんどで、満足している人が使い続けている。2位のスマホはとにかく料金が安い。ひと月2000円くらいと、大手3社と比べても格段の安さです」(スマホ評論家の新田ヒカルさん)
◆金融業
︎銀行
1位『新生銀行』
2位『ソニー銀行』
3位『住信SBIネット銀行』
上位に『三菱東京UFJ銀行』、『みずほ銀行』、『三井住友銀行』の3大メガバンクが入っていない。
「『新生銀行』は、あまりメジャーではないけれど、もともとお金に詳しい人には人気の高い銀行です。住宅ローンの金利が低いし、振込手数料が一定回数無料だったり、Tポイントがもらえるキャンペーンもあります。また、個人の顧客でも個室ブースで対応してもらえるのもVIP感があってうれしい。
『ソニー銀行』と『住信SBIネット銀行』はどちらもとにかく使い勝手がいい。振込手数料の一定回数無料サービスもあるし、他行から手数料無料で自動的に入金してくれる仕組みもある。『ソニー』は外貨手数料が安くなるキャンペーンを頻繁にやっていますし、『住信SBI』は住宅ローンを1円以上1円単位で繰り上げ返済できます」(ファイナンシャルプランナーの畠中雅子さん)
︎クレジットカード
1位『楽天カード』
2位『JALカード』
3位『VIEWカード』
「『楽天カード』、『JALカード』は稼働率の高い2大カード。だからこの順位は妥当といえるでしょう。特に、『楽天カード』は、楽天で買い物をするならば、持っていないと絶対に損。決済の時、ポイント付与率が上がります。街ナカでも、『楽天カード』で買えば買うほど楽天ポイントが貯まる。しかも一般カードでも旅行保険が付いてくるから、2枚目以降のカードとして持っていて便利だと思う人が多いのではないでしょうか。2位の『JALカード』も、『ローソン』の『ポンタカード』と提携していることから、生活周りでの使いやすさも満足度を押し上げているのでは?」(畠中さん)
便利さは、3位の『VIEWカード』も同じ。
「スイカを自動でチャージしてくれるし、『大人の休日倶楽部』に入会すると、JR東日本とJR北海道の200kmを超える新幹線代などが5%引きになるとか、地味にうれしい特典が」(畠中さん)
︎生命保険
1位『コープ共済』
2位『都道府県民共済』
3位『全労済』
「負担の少ない掛け金が好感を得ているのだと思います。例えば『都道府県民共済』は掛け捨てとはいえ、2000円で入れる。景気があまりよくならず収入が増えない状況で、掛け捨てでもいいから安く保険に入りたいというニーズが強いです。特に若年層にはリーズナブルに見えて支持されています」(畠中さん)
では、『明治安田生命』や『日本生命』など大手が選ばれていないのはなぜか。
「『コープ共済』は組合員にならないと入れないので、自分で考えて選んで入った人が多いですが、大手は人にすすめられたり、おつきあいで内容がわからず入ってしまった人も多いと思います。大手の保険料が高いわけではありませんが、自分でもよくわかっていないから満足度も高くならずに、選ばれていないのではないでしょうか」(畠中さん)
︎損害保険
1位『セゾン自動車火災』
2位『ソニー損保』
3位『三井ダイレクト損保』
社長自ら「満足度を高めるため、事故対応力を充実させる」と語っているとおりの親切な対応ではじめての1位になった『セゾン』。「安い。他社との差が1万円あった」と、お値段を喜ぶ声も聞かれた。
◆流通業
︎宅配便
1位『ヤマト』
2位『日本郵便』
3位『福山通運』
8年連続で1位をキープした『ヤマト』に、前出の平野さんは「当然」とうなずく。
「『ヤマト』の支店は都市部では歩ける範囲に隣接している状況だから、時間指定も再配達もスムーズです。昔から法人向け宅配を行ってきた『佐川急便』は配達エリアが広いので、ミスすると対応が後手になります。最近話題になった配達トラブルもあり、自滅的に下がった感が。2位の『日本郵便』はもともと国営できっちりした仕事ぶりに定評があり、3位の『福山』は佐川の評価があまりにも低くて、その玉突きで3位にランクインしてしまった」
︎ネット通販
1位『ヨドバシ.com』
2位『オルビス』
3位『Joshin web』
「『ヨドバシ』の1位を支えているのは、店頭引き取りと宅配を選べるところ。例えばカメラだと、店頭で受け取って店員さんに設定をしてもらった方がありがたかったりする。自転車も厳重に梱包されて届くより、受け取った方がスムーズだったりします。
化粧品会社である『オルビス』は扱う商品の品質の良さが理由。商品そのものへの満足度が高いから、通販への満足度も上がっています。
3位の『Joshin』は通販サービス自体の顧客満足度ももちろんのこと、ロイヤリティーの点数も高いのでファン心理も大きい。阪神タイガースのスポンサーなので、ファンがひいきにしている結果です」 (通販研究家の村山らむねさん)