北朝鮮情勢から目が離せない状態が続いている。米軍が北朝鮮を攻撃した場合、当然、攻撃を受けた北朝鮮は米軍に応戦する。本格的な戦争が始まれば、同盟国の日本は米軍の後方支援に奔走することになる。
北朝鮮問題に詳しい軍事評論家の黒井文太郎氏が語る。
「日本の港や空港は米軍が使用することになるでしょう。大量補給が必要になりますから。 また、安保法が成立し、集団的自衛権の限定的行使が可能になった現在、自衛隊は米軍の空母などを守るために護衛艦や潜水艦を出動させることになります。あくまで北朝鮮と戦う米軍艦隊を守るためですが、攻撃を受ければ応戦せざるをえない。日本の自衛隊にも甚大な被害が出るでしょう」
もっとも、北朝鮮に詳しいジャーナリストの惠谷治氏によれば、「現時点で北朝鮮は米国本土まで届くミサイルをまだ保有していない」ため、海を越えた米国民に被害が及ぶケースは考えづらい。直接の戦地になる可能性が最も高いのが、韓国である。
北朝鮮の軍事境界線から首都・ソウルまでは、わずか40kmしか離れていない。北朝鮮軍は境界線沿いに300~500門の長距離砲を展開しており、全砲門を開けば1時間でソウルに6000~7000発が着弾する。市内の建物の10~15%が破壊されるといわれており、3万8000人の在韓邦人も逃げまどうことになる。
「民間機が運航を停止し、さらに政府専用機も危険で使えないとなれば、邦人の逃げる手段を確保するため、韓国政府の承認を経て、海上自衛隊が半島の沖合で待機することになると思います。それで順次日本の九州あたりに輸送していくと。難民が発生することも考えられますね。特にいったん韓国などに避難した難民の中から、帰国事業で北に渡った在日のかたたちなど。日本に地縁のあるかたが何万人単位でいますから。みんなで協力し合って受け入れることになるでしょう」(黒井氏)
問題は難民に見せかけて武装した北朝鮮のテロリストが入国してくる“偽装難民”のケースである。日本の警察にその見極めは至難で、撃退能力もない。目下、政府を悩ませる難題だという。
※女性セブン2017年5月4日号