北朝鮮情勢から目が離せない状態が続いている。米軍が朝鮮半島を攻撃する際、韓国に次ぐ前線は在日米軍基地になる。
事実、3月6日に北朝鮮から日本海沖に向けて発射された4発の弾道ミサイルは、「在日米軍基地を狙う部隊による発射訓練だった」と労働党が声明を出している。
北朝鮮は日本の全土を射程圏内に含む中距離弾道ミサイル「ノドン」を200発保有しており、発射台は約40基。北朝鮮問題に詳しい軍事評論家の黒井文太郎氏はこう語る。
「ノドンが在日米軍基地に向けて撃ち込まれた場合、自衛隊はイージス艦で海上から迎撃します。万一撃ち漏らしが発生しても地対空誘導弾『PAC3』で迎撃できます。
最大の懸念は、北朝鮮が数十基もの発射台から一斉に撃つ『飽和攻撃』をしてきた場合です。今の日本の防衛能力で全弾迎撃できるかはやってみないとわかりません。撃ち漏らしが発生する可能性もあります」
PAC3の射程は25kmなので、例えば首都圏に配備されたPAC3(市ヶ谷、朝霞、入間、習志野)ではごく一部の地域しか守れない。仮に撃ち漏らしたミサイルが八王子方面や房総半島に向かった場合は対処できないのだ。
「住宅街に落ちれば一発で家屋数軒が破壊されます。先日安倍首相が言及した『サリン搭載型弾頭』だった場合、空中で起爆させると半径数百mに拡散するので、甚大な被害が出るでしょう」(前出・黒井氏)
最悪の事態は、日本に飛来してくるのが核ミサイルだった場合だ。
「これが起こりえるのは、北朝鮮が降伏せずに玉砕覚悟で最後まで抵抗するケースです。勝てないなら道連れだと、金正恩が破れかぶれで核を撃ってしまう可能性がある。米軍が本気を出せば、早期に北朝鮮軍を壊滅できるともいわれていますから。
もう1つは戦争の途中で金正恩が殺された場合。トップが死んだあと、核ミサイルの発射ボタンを押せる指揮官が撃ってしまうかもしれない。ああいう国は敗戦が確定した後でも、復讐のために核ミサイルを撃たないとは限らない。その場合は人口密集地の東京やソウルを狙うことになるでしょう」(前出・黒井氏)
3月から韓国で行われている米韓軍の合同軍事演習には、2011年にオサマ・ビンラディンを暗殺した特殊精鋭部隊、通称「ニンジャ・フォース」も参加しており、金正恩の“斬首作戦”を含めた極秘訓練がなされているという。
最高指導者と幹部らの最後の抵抗で、もし核兵器の発射ボタンが押されたら…。米韓の合同研究によれば、12キロトン級の核兵器(広島は15キロトン)が東京の国会議事堂付近に落ちた場合、推定死者数は42万人、全体被害者81万人。
ちなみに大阪の梅田に落ちた場合は、死者48万人、全体被害者88万人と、いずれも未曾有の事態になる。あくまで万に一つのケースだが、戦争とは何がきっかけで起きるかわからない。水や非常食だけでも用意しておくべきかもしれない。
※女性セブン2017年5月4日号