日本共産党の機関紙・しんぶん赤旗(113万部)と、創価学会の機関紙・聖教新聞(550万部)。ともに駅の売店やコンビニでは売られていないので、読んだことのない人も多いだろう。だが、情報のプロにとっては、この2紙は非常に重要な情報源となる。自民党のベテラン秘書が明かす。
「赤旗を読めば共産党が今どんなことで与党を批判しようとしているかがよくわかる。最近では、森友学園問題で共産党議員が批判の急先鋒になっていたため、赤旗も連日、追及キャンペーンを張っていた。問題の論点整理をするのに一番参考になった(笑い)。
対して聖教新聞は、800万世帯を超える巨大教団の進むべき方針が示されている。国政選挙でも地方選挙でも、この巨大な組織票の行方で勝敗が決する。公明党・創価学会との関係を重視する我が党にとっては注目のニュースが多い」
特に7月の東京都議会選挙では、公明党が自民党との協力を解消し、国政にも影響すると見られている。国会では「一強」を築く自民党にとって“800万票”を動かす聖教新聞の論調は気になるようだ。
政界への影響だけではない。たとえば昨年11月5日、聖教新聞は〈「三代会長」の敬称を「先生」と明記〉と1面トップで報じた。前日に開かれた第72回総務会で議決された「創価学会会則」の改訂内容で、池田大作・名誉会長の敬称を「会長」から「先生」に変更したというもので、「創価学会がこれまで進めてきた『ポスト池田体制』確立に向けた動きが加速していることを示している」(宗教学者の島田裕巳氏)と宗教界に波紋を呼び、本誌も大きく取り上げた(2016年11月25日号)。
赤旗と聖教新聞の2紙とも、読者の多くは信者や党員・党支持者のため、熱心に読みこまれるのが特徴だ。だからこそ記事が持つ影響力は時に全国紙を上回り、世間を動かしている。
※週刊ポスト2017年5月5・12日号