ガチンコ横綱・稀勢の里の3場所連続優勝がかかる大相撲5月場所は、前売り券の「即完売」が大きく報じられるなど、相撲人気はますます高まっている。伝統ある国技として運営されてきた大相撲の世界には、数々のマル秘ルールが存在する。いくつか紹介しよう。
◆懸賞旗が土俵上を回る時のヒミツ
大相撲の懸賞金で、スポンサーが提供する金額は1本につき6万2000円。事務経費(取組掲載料、場内放送料、呼び出しへの手数料計5300円)と力士の納税充当金(2万6700円)を差し引いた3万円が、祝儀袋に入れられて勝った力士に渡される。
特定の取組に懸賞が集中すると進行に支障をきたすとの理由から、懸賞の上限は50本が目安だが、今年の初場所千秋楽で白鵬と稀勢の里が対戦した結びの一番(61本)など、特例もある。また、政治利用を避けるため個人は受け付けず、企業や団体スポンサーのみ。
「大関酒造が“大関の一番にかける”といった具合に、スポンサーが対象取組を指定するケースもありますが、ほとんどは協会の判断で振り分けられています」(協会関係者)
呼び出しが掲げながら土俵を一周する「懸賞旗」は提供スポンサーが自前で用意する。大きさは120cm×70cmで統一されており、「蔵前(東京・台東区)にある専門業者が1本5万円ほどで制作を請け負う」(同前)という。懸賞に対してはそれぞれ場内放送で、
「味一筋、お茶漬け海苔の永谷園」
「イエス、イエス、高須クリニック」
などキャッチフレーズが流される。ただし、NHKの放送ではこうした宣伝広告は原則として流せない。そこで、懸賞旗が回り始めると、画面は“引き”になり、対戦力士の四股名が画面一杯に表示されたり、過去1年の対戦成績が表示されたりと、画面が文字だらけになる。
「音声も絞って場内アナウンスが聞こえないようになっている」(NHK関係者)という。
※週刊ポスト2017年5月5・12日号