記憶を貯蔵する「大脳皮質」は加齢に伴い縮小し、記憶力も低下していく──これが定説とされてきた。しかし高齢になっても圧倒的な記憶力を誇る「スーパーエイジャー」たちは、その定説を覆す。
定年がない「政治家」は、記憶力が衰えにくいと言われている。自治大臣や国家公安委員長を歴任し、昨年『冤罪 田中角栄とロッキード事件の真相』を上梓した石井一氏(82)は、驚くべき記憶力を誇る。
「ロッキード事件の一連の出来事については、何年の何月何日に何が起きたかを、はっきりと覚えています。その理由は、私が40数年来の“メモ魔”だからです。常に手帳を持ち歩き、その日に会った人の名前や会話内容、訪れた場所などを逐一メモしてきた。そのたびに、個々の事象が整理され、覚えられたのです。手帳は2か月に1冊のペースで増え、現在は600冊を超えています」
この40年間の出来事のうち、メモをとったものは手帳を見返さなくても内容を思い出せるという。
「金日成とは10回ほど面会しました。最初に会ったのが1975年、田村(元)訪朝団としての訪朝のとき。2度目が1990年の金丸(信)訪朝団、3度目が日朝友好議連として行った1991年です。会話の内容も頭に入っていますが、メモを見ればさらに詳細に思い出せます」
スーパーエイジャーたちは独自の記憶力維持の方法を持っている。彼らの生活は、ボケない脳づくりのヒントとなるはずだ。
※週刊ポスト2017年5月5・12日号