中国では今、「00后世代(2000年代生まれ)」の若者たちがスマホアプリを使って過激な行為に及んでいる。中国出身の漫画家・孫向文氏が報告する。
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共産党が統治する中国において、ポルノはご法度だ。学校では18歳未満の恋愛が禁じられており、生徒同士の性行為は犯罪となる。14歳未満の女子と行為に及べば、強姦罪が適用され、厳罰に処される。
だが、以上は建て前に過ぎない。私が高校時代を過ごした10年ほど前でも、1クラスに2~3のカップルは常にいて、教師や周りの大人にバレないようにこっそり付き合っていた。
そうした状況を一変させたのは、スマホ時代の到来だ。「00后世代」の中高生の間では今、彼氏・彼女との行為を“自撮り”して動画投稿サイトにアップするのが流行している。彼女との行為を自慢したがる男子が多いようだ。
中には周りの同級生らがいたずら目的で盗み撮りしてこっそりアップすることもある。「秒拍」という動画投稿アプリを見ると、校舎の裏でコトに及ぶジャージ姿の男女(中国の学校は体のラインが目立たないジャージが制服代わり)や、公園のベンチに座る彼氏に跨る女子生徒のあられもない姿などが多数出回っている。
そもそも中国では日本のAVに相当する商品は存在しない。これまで網民(ネットユーザー)は海外のアダルトサイトを閲覧していたが、「00后世代」にスマホが普及した今、そうした画像は“自給自足”的になった。
日本に住む私から見て違和感を持つのは、中国のネット上に溢れる性表現や、この10数年で街中に見られるようになったアダルトショップが未成年者への配慮を一切していないことだ。モザイク規制もなければ、「18禁」もない。そもそもポルノは禁止だから、性にまつわる規制がないのだ。中国では、「禁止ゆえの無法」がまかり通っている。
【PROFILE】孫向文●中国浙江省杭州市出身。2013年来日。著書に『中国のヤバい正体』、『中国のもっとヤバい正体』(いずれも大洋図書刊)、『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社刊)などがある。
※SAPIO2017年5月号