これは興味深い対比、といえそうだ。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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春の新ドラマが続々とスタート。中でも気になる作品が『リバース』(TBS系金曜夜10時)。「イヤミス」-イヤな気分になるミステリーを書かせたらピカ一の、湊かなえ原作のドラマです。
主人公のサラリーマン・深瀬和久(藤原竜也)は、真面目で不器用な男。10年前に失った唯一無二の親友・広沢由樹(小池徹平)の事故死を、今も忘れることができない。ことあるごとに時間をリバース(遡)していくうちに、衝撃的な「秘密」が──。
謎めいたストーリー、小気味良いテンポ。ゼミ仲間と過ごした「大学時代」と、サラリーマンの「今」。二つの時間の往復が、ドラマに緊張感を与えています。
映像的な工夫も、面白い。「現在」から「過去」へと、まるで録画テープを巻き戻すように(今の言葉で早戻し?するように)映像も「逆回転」していく。随所に「リバース」というテーマにこだわった演出があって楽しめます。
もう一つ、注目ポイントが。それは、「ダサい藤原竜也」の新境地。身長が高くスラッと爽やか、イケメンのイメージをまとう藤原さんが、今回意欲的に臨むのは、ダサ男。
「自分には価値がない」とコンプレックスを抱え、世渡り下手、あか抜けないファッション、その「ダサい感じ」が、ピタリと表されている。藤原竜也の「別の自分を見せたい」という役者根性と情熱が、ひしひしと伝わってくるようです。
視聴者もそのダサさに、すぐさま好反応。「史上最高、ダサくてすごくいい」「めちゃくちゃかわいい」「ヘタなスキップがいい」と話題に。さて、藤原竜也はいったいどこまで変身するのか。今後の展開が楽しみです。
実は、春ドラマの中に奇しくももう一つ、“変身系”が。それは『人は見た目が100パーセント』(フジテレビ系木曜夜10時)。こちらは主人公・城之内純を桐谷美玲が演じています。
純は製紙会社の研究者で働くリケジョ。メガネに束ねた髪、作業服。男性にモテたことがなくガールズトークもメイクも苦手。女子力ゼロのネクラな人物。自信がなくて地味で不器用という主人公の性格は、『リバース』にぴたり通じるものが。
純の会社は東京・丸の内の大手化粧品企業に買収され、都会のど真ん中でオシャレな化粧品メーカーの女子に囲まれ働くことになった。ダサい女子をどうやったら卒業できるのか、と悪戦苦闘する主人公……。