ゴールデンウィーク期間中、「コンビニおにぎり」を買って行楽地に向かう人も多いだろう。今ではすっかり定番化したコンビニおにぎりだが、米粒の状態にまでこだわって改良を重ねるチェーンがあるなど、年々進化を遂げているのをご存じだろうか。コンビニジャーナリストの吉岡秀子さんが徹底調査した。
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ゴールデンウィーク、旅行やお出かけは楽しみだけど、「混雑の中、食事をどうしよう」なんて考える人も多いでしょう。そんなとき、手軽なコンビニおにぎりの出番ですが、今の時期、使い勝手の良さだけで売れるわけではありません。
実はコンビニ各社とも、行楽需要に合わせておにぎりを毎年GW前にリニューアルするのです。例えば同じに見える「シャケおにぎり」でも、昨年冬の「シャケ」と今の「シャケ」は大違い。だから1年を通して今が一番「新しい味」に出会えるチャンスというわけ。
さて今年のトレンドは? 解説していきましょう。
「今年のおにぎりの改良ポイントはどこですか?」
そう尋ねたのは、セブン-イレブン(以下セブン)、ファミリーマート(以下ファミマ)、ローソン、ミニストップの4社。それぞれに特徴があるのですが、まずは業界を俯瞰して、顕著になってきた「おにぎりの変化」についてお話しします。
おにぎり売り場を見てみると、パリパリした海苔を巻く「手巻おにぎり」、ごはんに海苔が巻いてある「直巻おにぎり」、チャーハンやオムライスなどを握った「変わり種おにぎり」、雑穀米などを使った「ヘルシーおにぎり」、その他「おこわ系」など、一言で「コンビニおにぎり」といっても、そのバリエーションは驚くほど豊かになりました。各社によれば、その数、ざっと15~30種類くらいのようです。
ですがこの豊かすぎるバリエーション、私はちょっと違和感を覚えます。だって、15年前からおにぎりの売れ筋を毎年聞いていますが、どのチェーンも「紅シャケ」「ツナマヨ」「辛子明太子」、加えて「昆布」や「梅」と決まって“ド定番”の答えが返ってくる。日本人の心のどこかに「おにぎりの具はこれでなくちゃ」というルールができあがっているからなんでしょう。
だから素朴に、「なぜこんなにおにぎりの種類を増やす必要あるのか」、と首をかしげてしまうのです。
改めて日ごろの取材をもとに、おにぎりの種類が増えた理由を考えてみました。ふたつ、思い当たります。ひとつ目は当然、「客を飽きさせないため」。いくら「ツナマヨ」の具が好きでも、たまには「違うのが食べたい」になりますよね。
そしてふたつ目は、最近、コンビニおにぎりの「バイブレーヤー(名脇役)化」が進んでいること。私見ですが「おにぎりのバイブレーヤー化」とは、次のような意味です。
昔は「コンビニでおにぎりを買おう」と、おにぎりを“目的買い”するために来店する客が圧倒的でした。「コンビニの顔=おにぎり」だったからです。
しかし今は、様子が違います。コンビニの客層は若い男性ばかりではなくシニアや女性へと広がってきました。それに伴い、惣菜、サラダ、小容量のめん類、スープ等と、新メニューが続々と増えている。だから「パスタ+サラダ」とか「スープ+サンドイッチ」とか、消費者の“買い合わせ”スタイルが定着してきたのです。
もうおわかりですね。メニューの選択肢が大幅に増えた今、おにぎりの立ち位置が「単品買いの主役」から、もう一品ほしいときに選ばれる「複数買いの名脇役」にシフトしてきたというわけです。実際に各社はこう話していました。