幼稚園・保育園で子ども向けのDJ活動を10年以上続けているアボカズヒロ氏が、新しいチャレンジを始めた。高校生以下の十代の少年少女が主催するパーティならば、足代だけでDJをするというのだ。初めて幼稚園・保育園DJを始めたときに楽しんだ子供たちは、ちょうど高校生になった。「新しいライフワークになりそうな予感がしている」というアボ氏に、その新キャンペーン、みずからの少年時代、ティーンとともに体験したいことについて訊いた。
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──「ティーンのパーティは足代だけでするよキャンペーン」を始めたことには、どんなきっかけがあったのでしょうか?
アボカズヒロ(以下、アボ):毎月、埼玉の商店街のラーメン屋さんで「ブロックパーティ」を開いているのですが、去年、そこに地元の男子高校生3人組がやってきました。彼らが持っているエネルギーやパッションを、何かの表現として実るような手伝いをしたいなと思ったことが始まりです。
──そんなに印象的な男子高校生だったのでしょうか?
アボ:彼らは「クラスで誰とも話が合わない、ダブステップ聴いている人すらいない」から仲間がほかにいないという。でも、すごく音楽が好きで、海外の有名DJスクリレックスが来日したときなんて、InstagramやTwitterの自撮り写真から場所を割り出して埼玉の奥地から渋谷まで行って、ツーショット写真を撮ってきたというんです。その、彼らのエネルギーにすごく感動したんですよ。
──その行動力は、何かを生み出しそうな予感がしますね。ところで、「ブロックパーティ」というのは、高校生も気軽に加われるものなのですか?
アボ:出入り自由で参加できるパーティです。日本の日常には、誰でも好きなように参加できる開かれたパーティが少ないと感じていたので、そういう場所をつくろうと去年の2月から1か月に一度、商店街で「ブロックパーティ」をしています。ヒップホップ文化というのは、クラブやディスコといった場所だけではなく、路上や街角からも様々なものを生み出してきました。そのひとつに、路上などでパーティをする「ブロックパーティ」があります。
──そのパーティでは、やはり皆さんは踊っているのですか?
アボ:何をしていてもいいんです。子供からお年寄りまでいろいろな年代の人がいて、音楽を聴きながらお喋りしたり、ずっと工作をしている子供や、楽しくて興奮すると叫ぶ癖がある子供もいます。ほかの場所だと出ていくように言われることもあるそうですが、ブロックパーティでは、他のお客さんもその子供を受け入れています。パーティとは、多様性を認めた自由な場、開かれた場です。もちろん、運営に弊害が出るようなことがあれば、一生懸命話し合って妥協点をみつけるので無法地帯ではありません。でも、場の空気を読むことを求められる作法に支配されない、自由に過ごせる場です。
──DJがいるパーティときくと、お酒を飲みながら一斉に皆で踊って、歓声をあげているイメージが強いですね。
アボ:クラブでのパーティときくと享楽的に騒ぐイメージが強いかもしれないですが、もともとは文化的なサロンとして、社会からはみ出しがちなマイノリティの受け皿になったり、都市の福祉的な側面も担っていました。異なる文化と人間をつなぐハブのような存在だったんです。様々な生きづらさを抱えた人たちが、許容されて、評価してもらえるのがクラブカルチャーのよいところでした。僕も、そうやって救われたひとりでした。