現在放送中のNHKの連続テレビ小説『ひよっこ』。割れた卵の殻からヒロイン谷田部みね子役を演じる有村架純(24才)がひょっこりと顔を出す。そんなメーンイメージがタイトルとぴったりのこの作品。しかし、最初は違う案が存在していた。番組のチーフ・プロデューサー菓子浩さんはこう語る。
「みね子が陽だまりが好きで、明るくてのびのびしていることから、岡田さんの提案してくださったタイトルには『ねこ』というものもあったんです。これからの放送でも、『ねこみたいな子だね』というせりふも出てくるんですが、実はその名残で、ヒロインの名前が谷田部み“ね子”になったんですよ」
高度経済成長を支えた若者たちは当時“金の卵”と呼ばれていたため、みね子が殻を破って成長していく姿とかけたタイトル『ひよっこ』が最終的に残ったのだという。
◆方言指導者6人が待機
毎回、日本の地域が魅力的に描かれる朝ドラ。今回は茨城県が選ばれた。
「実際の茨城県北部の方言や当時みね子と同年代だった人が使っていた言葉を調べて、基準となる方言を設定しました。その上で全国の人が聞いてもわかるように細かく調整を重ねたんです」(菓子さん)
また、みね子のような若者たちには柔らかめの方言を、年配の古谷一行演じるおじいちゃんにはちょっと強めの方言をしゃべらせているともいう。今後、みね子が集団就職で上京するが、そこで出会う東北の若者の方言なども出てくるため、多い時は6人の方言指導者が待機して、せりふを調整しているのだという。
◆若いキャストは有村以外全員オーディション!
朝ドラといえば、新たな俳優の魅力を知ることができるのも楽しみの一つ。今回は、みね子以外の男女1500人あまりをオーディションし、フレッシュな俳優が選ばれた。放送後にWEBサイト『エキレビ!』で毎回『ひよっこ』のレビューを上げている作家の木俣冬さんが語る。
「朝ドラはイケメン俳優枠というのがありますが、今回は警察官の竜星涼さん(24才)が女性たちの心を掴んでくれそうですね。みね子の親友で女優を目指す時子を演じている佐久間由衣さん(22才)にも注目です」
◆『ちゅらさん』に出てきたあのせりふも…?
脚本は、『ちゅらさん』(2001年)や『おひさま』(2011年)を岡田惠和さんだ。岡田さんが込めたメッセージに注目しているというのは、前出の木俣さんだ。
「『ちゅらさん』と『ひよっこ』には、似ているところがあるんです。例えば、すずふり亭で宮本信子さんが『東京を嫌いにならないでくださいね』と言うシーンがありますが、『ちゅらさん』でも、東京に住む作家が沖縄から来たヒロインに、『東京は冷たい場所ではないんです』と語るシーンがある。東京と地方にはどちらもいいところがあるよね、ということを、岡田さんは常に描いているのかなと思うんです」
◆決め手となる音楽は年表からセレクト
父親の実を探すため、母親の美代子が何も言わずに上京。不安に押しつぶされそうになりながら「だけどぼくらはくじけない、泣くのはいやだ笑っちゃお♪」と1960年代に放送された『ひょっこりひょうたん島』の主題歌をか細い声で歌うみね子。このドラマには、歌が心情を語る場面が多々ある。
「岡田さんには最初に当時流行っていた音楽や映画、起こった出来事などを表記した年表を渡しました。みね子が今生きていれば、72~73才くらいなんですが、それくらいのかたが、あのときこうだったよなぁと音楽を通して思い出してもらえたら嬉しいです」(菓子さん)
※女性セブン2017年5月11・18日号