生前退位を表明された天皇陛下だが、お金の問題が浮上している。三種の神器ほか、陛下ならではの資産にも贈与税は発生するのか…そんなことが話題になった。象徴としてパスポートもお持ちでなければ参政権もない“特別な存在”の天皇であっても、その資産には、しっかりと税金がかけられてきた。
戦後、GHQによって皇室財産は綿密に調査され、御用邸や京都御所などの土地・建物をはじめ、資産のほとんどを国に納めることになった。昭和天皇の手元に残ったのは、1500万円の現金と身の回りの調度、装飾品のみだった。
「それが、崩御までの約40年間で20億円にまで膨らみました。質素倹約の精神のもと、国から支給されたお金をしっかりと貯蓄されていたことが第一ですが、それで株や国債を購入され、運用益も含まれていたといいます。そのうち香淳皇后と陛下が約9億円ずつ相続し、その時に陛下は相続税として約4億円を納税されました」(皇室ジャーナリスト)
天皇と内廷皇族(独立した生計を営まない天皇直系の皇族のこと。現在は美智子さまに皇太子ご一家を加えた4かたのことを指す)には、国から『内廷費』が支給されている。2016年度には、両陛下と皇太子ご一家の合計5名に対し3億2400万円。それが天皇家のプライベートな“財布”に入る。退位後も、両陛下の日常の費用は内廷費から支出される方向で検討されている。
「預貯金は『内廷会計主管』の名義で設けられた銀行口座で管理されています。そして、経済顧問と呼ばれる私的な運用アドバイザーの助言のもと運用も行われているそうです。ただ、皇室の株運用は配当を得るのが中心で、売却益を目的とした積極的な売買はされていません。詳細は明らかにされていませんが、インフラ企業や大手都市銀行の株をお持ちだといわれています」(皇室記者)
つつましい生活を送られている陛下もまた、資産を増やされていることは想像に難くない。
「内廷費が支払われる、いわば“世帯主”は天皇とされています。つまり、新たな天皇が誕生した場合には“支払先”が変わるわけです。ところが、それまでの現金や有価証券といった資産は陛下の手元にあります。それらを譲ろうとお考えになられるなら、やはり贈与税の対象となるでしょう。
すでに宮内庁が検討していると思いますが、可能性としては陛下がそのままお持ちになり、崩御されたら新天皇が相続する、という形になるのではないでしょうか」(前出・皇室ジャーナリスト)
お金の悩みは皇室でもついてまわる。
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2017年5月11・18日号