北朝鮮の東海岸から福岡まではわずか500kmほど。東京まででも約1000kmだ。いざ朝鮮半島有事となれば、日本は様々な被害を受ける可能性が高い。北朝鮮から日本に向けてミサイルが発射されたとき、日本は現状の防衛力で防げるのか。ジャーナリストの黒井文太郎氏が、日本に起こりうる脅威を指摘する。
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北朝鮮のミサイル兵器には様々なものがあり、代表的な種類を挙げると、「ノドン」「スカッド」「ムスダン」「テポドン」「北極星」といったミサイルを保有していると言われています。朝鮮半島有事となった場合、日本へ向けて発射されると考えられるのは主にノドンです。射程約1300kmには、日本列島がほぼすっぽりと含まれます。
ノドンのペイロード(弾頭の積載量)は、約700kg。これに通常の爆薬を搭載しても、ビル半壊、一般家屋数軒を全壊させる程度の威力しかない。それよりやはり恐ろしいのは、大量破壊兵器つまり核や生物・化学兵器を積まれることです。
去る4月13日、安倍晋三首相は国会で、「(北朝鮮は)サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べました。
ただしサリンをはじめとする化学兵器の効果は限定的です。ミサイルの弾頭に積んで標的の上空で爆発させても、ミスト(極めて細かな霧状のもの)が及ぶ範囲しか効果はありません。