4月中旬以降、東京でも夏日が続くなど、気温が上昇。そこで気になってくるのが、食材の“傷み”。そもそも、スーパーで食材を購入する際、どうやって新鮮さを見極めているだろうか。「スーパーによっては、卵などの賞味期限をごまかしている店もある」と言うのは、食品安全教育研究所代表の河岸宏和さん。たとえば、こんな選び方をしている人もいるかもしれない。
「青魚は氷水につけてあるものの方がパックより新鮮!」
「卵は常温保存で大丈夫! 棚に陳列されたものを買っています」
「パック売りの総菜より、自由に選べる“裸売り”総菜の方が作りたて!」
「牛肉は“国産”かどうかがいちばん重要!」
これらの食材の選び方は実はどれも間違い。特に卵は、常温陳列では危険だと、河岸さんは警鐘を鳴らす。
卵は洗浄されてから出荷されるが、食中毒の原因となるサルモネラ菌は卵の中にいることもあり、8℃以下で保存しないと、この菌が繁殖してしまうのだ。
「8℃以下なら60日程度保存できるのに、36℃の環境に置くと、わずか1日でサルモネラ菌が大量繁殖し、食べられなくなってしまいます」(河岸さん・以下同)
棚に陳列されている卵は、8℃で保存されているものより、安全とはいいがたいのだ。
◆肉や魚はスーパーでスライスしてもらおう
肉や魚を選ぶ場合はどうだろう。銘柄や産地を見がちだが、達人の視点は違う。
「見るべきは“加工者”。この住所が、スーパーと同じなら、店内で加工している証拠。肉も魚もスライスした直後から劣化します。工場で加工をしている場合、スーパーに並ぶ時には時間が経って、ドリップ(うま味成分)が流出し、おいしくなくなります」
そのスーパーで加工を行っている方が、より“新鮮”というわけ。できれば、加工用の作業場がついているスーパーを選び、肉なら塊、魚なら1尾丸ごとかサクを選び、その場で加工してもらおう。
1尾丸ごと魚を買う場合、よく見られるのが写真のように氷水につけて売られているケース。一見新鮮そうだが、実はこれにも注意点が。
「この場合、氷の下の魚は冷えていますが、上に出ている魚は常温にさらされ、一定温度で管理できていません。特に危険なのは、いわしやさばなどの青魚。保存する環境が25℃以上になると、食中毒の原因となるヒスタミンを発生させるのです。これは一度発生すると、再度冷やしても、煮ても焼いても消えません」
氷の下の魚を選ぶか、温度管理が一定の冷蔵陳列の魚を選ぶのがおすすめだ。
◆パッキングされていない総菜はその店で作ったとは限らない
「総菜の多くは別の工場で作られています。特に、パッケージに入れられていない、“裸売り”の食品には表示義務がないため、いつ・どんな素材で作っているのか不明。店に確認することをおすすめします」
ちなみに「製造日」とは作られた日ではなくラベルを貼った日のことだ。
※女性セブン2017年5月25日号