中国の西周時代(紀元前1100-同771年)に製造され、約700万元(約1億2000万円)の価値がある鼎(かなえ)と呼ばれる古美術品が中国国内を運搬中、運送業者の乱暴な扱いによって、バラバラに破壊されるという事故が起こっていたことが分かった。持ち主は業者に「これは極めて価値が高い貴重品だから、気を付けて運んでくれ」と念押ししていたが、業者側は放り投げるなどのぞんざいな扱いをしていたという。
持ち主は保険をかけていたが、賠償金は本来の価値の約220分の1の3万元(約50万円)しか受け取れないという。これについて、ネット上では「荷物に『古美術品』と書かなくてよかった。書いてあったら、盗まれて、破片すら出てこなかったに違いない」との書き込みなどがみられる。南方都市報が報じた。
この鼎は約3000年前に作られた「西周紅陶鼎」と呼ばれ、高さ約30cm、口径は約15cmで、青銅製の鼎を模して、一つ一つ手作りで作られた土器で、この底に三本の足(鼎)がついており、肉を煮炊きするために用いられたとみられる。鼎は中国古代において最も大量に製作され、とくに周時代では権威の象徴として重要視されていた。内壁に21字の銘があり、貴族が周王より宝貝を授かったことが記されている。西周初期の西周諸侯と周王との関係を伝える貴重な史料とされる。