4月に米トランプ政権がシリアへの空爆に踏み切ったが、「トランプ大統領は軍の操り人形と化してしまった」と指摘するのは、ジャーナリストの落合信彦氏だ。
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人類は、3度目となる世界大戦の危機を迎えている。昨年秋に上梓した『そして、アメリカは消える』で懸念した通りの状況になってしまったのだ。
4月に行われたアメリカのシリア空爆は、今後の世界を見通す上で極めて重大な意味を持つ。新聞やテレビは「アサドの化学兵器使用に対する報復だ」などと表面的なことばかり報じている。トランプの“決断力”に言及するメディアも多かった。しかし、現実は違う。
恐ろしいのは、軍事や国防、そして外交にまったく疎いトランプが、軍の言いなりになっていることなのだ。軍は、「あの最高司令官は何もわからない」とタカをくくっている。トランプは「軍の操り人形」と化したのだ。
アサドによる「化学兵器使用疑惑」が浮上したのは4月4日のことだった。サリンと思われる神経ガスは、子供25人を含む少なくとも83人の命を奪った。シリア軍によるサリンの使用は、2013年8月にダマスカス郊外で行われた攻撃以来の暴挙だ。
トランプはすぐに、「アサドは恐ろしいことをした。シリアで起きたのは目に余る犯罪だ」「レッドラインを越えた」と非難する声明を出した。国務長官のティラーソンも同じ日に、「重大な対応が必要だ」「アサド退陣に向けた政治プロセスを進めていく。アサド大統領は、シリア国民を統治する役割を失うだろう」と強気で発言した。