いまや国家主導の「女尊男卑」の時代である。たとえば国立研究開発法人海洋研究開発機構の公式サイトに掲載されている「採用情報」には、研究者の募集要項として以下のような文言がある。
〈本公募では、男女平等の理念のもと、女性の社会進出を推進するという日本政府の方針に準拠して、多数の女性の積極的な応募を期待するとともに、男性候補者と女性候補者の業績および人物評価が同等であった場合は、女性を優先して採用します〉
現在広まっている女性優遇策は「同水準なら女性優先」だけでない。はなから「女性しか応募できない公募枠」を設けている法人もある。全国51の高専を所管する国立高等専門学校機構では、教授、准教授、助教の募集で「女性限定公募」や「女性優先公募」を行なっている。
「平成19年に機構本部から全国の高専に対し、一定の分野で女性が少ない状況があり、改善するための女性限定採用は法令上許された措置であるとする通知があり、始まったと聞いています。もともとこの分野に進む女性は少なかったのですが、平成24年度の女性教員の比率は7%だったのが、5年たった現在10%に増えました。新規採用教員に占める女性の比率を当面20%以上とすることを目標としています」(同本部人事課)
他にも、内閣府男女共同参画局が公表している「独立行政法人等女性参画状況調査の結果について(平成29年1月)」によれば、「定年制研究職の定期公募時に、女性のみが応募できる公募枠を別途設けている」(物質・材料研究機構)、「出向受入の際には積極的に女性を受け入れる交渉を実施」(電力広域的運営推進機関)といった例がある。
この調査によると、女性の「積極採用」を謳う政府系機関は105法人に達するという。
※週刊ポスト2017年5月26日号