昨今、空前の猫ブームが続くが、それは映画界にも波及している。『ねこあつめの家』など猫が登場する話題の映画が相次いで公開されている。なかでも注目は『猫忍』だ。大野拓朗演じる孤独な忍者・久世陽炎太が、掟を破り人目を避けながら猫を飼う姿を描いた作品。その見所について、コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。
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以前、このコラムでも取り上げたドラマ『猫忍』の映画が20日から「全国ネコそぎロードショー」となる。
その宣伝文句は「こじらせ忍者とオヤジ猫、股旅コンビの全国道中膝栗毛。仰天コラボが織りなす、笑いと癒しのモフモフ時代劇!」である。「モフモフ時代劇」…ドラマを見てない人には、想像もできないと思うが、そもそもこれはタイトルに「忍者」の「忍」より「猫」が先にくる、猫中心の作品なのである。
物語は、霧生忍者の久世陽炎太(大野拓朗)が、稀少金魚を盗むミッションで忍び込んだ屋敷でデブ猫と遭遇。なぜか、その猫を十五年前に生き別れた凄腕忍者の父(船越英一郎)が「変化の術」で化けたものだと信じた彼は、こっそり猫を連れ帰ってしまう。おデブ猫を台に載せて、「ハハハアー」と平伏する陽炎太。当然、猫は無関心なんですけど。
映画では、父を元の姿に戻す「秘伝の巻物」を探す旅に出た陽炎太が、勝手に霧生忍者団から脱退「抜忍」になり、裏切り者として追われることに!? 忍者同士の闘いやドッカーン!と火薬炸裂シーンもあるなど、ゆる~いドラマの雰囲気に加え、映画版は迫力シーンもいっぱいだが、麿赤児、永澤俊矢、柄本明、渋川清彦といった怖い顔系が猫相手にとぼけた顔を見せるのも面白い。