5月14日から行われている5月場所の新入幕力士は2人。どちらも「大器」と期待される2人だ。阿武松部屋の阿武咲(おうのしょう)は20歳9か月での入幕。貴乃花部屋の貴景勝と並ぶ幕内最年少力士となった。スポーツ紙記者は語る。
「田子ノ浦部屋の横綱・稀勢の里と関脇・高安から目をかけてもらっているガチンコ勢のホープです。場所前は阿武松部屋に出稽古にやって来た高安から三番稽古(2人だけで何番も続ける稽古)の相手に指名されていた。
調整段階とはいえ高安を相手に36番取って19勝。得意とする突き押しで、大関獲りがかかる関脇の体勢を起こしていたのだから大したものです。師匠の阿武松親方が現役時代の四股名・益荒雄を継がせてもいいといっているくらいです」
もう一人の新入幕は時津風部屋の豊山(ゆたかやま)である。東京農大出身で同部屋の正代の後輩にあたる。
「コアなファンにはむしろ先場所までの『小柳』(おやなぎ)の四股名のほうがすでに浸透しているでしょう。それくらい、幕下デビュー直後から注目されていた。幕下だというのに、出稽古に来た横綱・鶴竜がわざわざ相手として指名していたくらいです。やはり得意なのは突き押し。十両時代には体重150kgの大砂嵐を左手1本で裏返しにした怪力の持ち主です」(同前)
こちらはすでに部屋伝統の四股名を継いでいるからやはり期待の大きさがうかがえる。入幕と同時に襲名することになった「豊山」は98~02年まで理事長を務めた先々代の時津風親方の現役時代の四股名だ。規格外の“怪物”が衝撃の幕内デビューを飾る場所となりそうだ。
※週刊ポスト2017年5月26日号