春から夏にかけて旬を迎える「アスパラガス」。ユーラシア大陸西部から地中海一帯を原産とするユリ科の植物で、新芽の茎を食用とする。古代ギリシャ・ローマ時代は珍重された。日本に最初に持ち込まれたのは江戸時代。アスパラガスは育てると樹木のように硬く育ち、鳥の羽根のような枝と葉が生い茂り、美しい花と実もなることから、明治時代にかけては観賞用として栽培されていた。その後は輸出専用農産物として栽培され、日本人がアスパラガスを食べるようになったのは昭和40年代に入ってからである。
アスパラガスはビタミン類を豊富に含み、カリウムやアスパラギン酸など利尿作用による腎臓や肝臓の機能回復、ルチンの血管増強作用なども知られる。また最近、「アスパラプチン」と名付けられた、血圧を下げる作用のある物質の存在が化学的に証明されている。料理研究家の松田美智子さんはこう話す。
「旬の新鮮なアスパラガスは生で味わえるのがうれしいですね。また、ゆでても栄養がほとんど失われないのが天晴れ(あっぱれ)! ただし、アスパラガスは歯触りと鮮やかな緑が命。くれぐれもゆですぎないよう気をつけてください」
◆アスパラガスの準備
アスパラガスは黄緑色鮮やかで穂先が締まり、根元のあたりまで張りがあって、切り口が新しいものを選ぶ。
下ゆでする前に、根元の硬い部分を除く。アスパラガスの根元側の先を片手で持ち、もう一方の手でアスパラガスの中央あたりを持って根元側の手をぐっと折り曲げると、硬い部分とやわらかい部分の中間ぐらいでポキッと折れる。
次に、アスパラガスをまな板の上に置き、根元から上の皮4~5cmほどをピーラーで薄く剥き取る。保存する場合は、キッチンペーパーなどで包んで密閉袋に入れ、葉野菜同様、野菜庫に立てて入れる。
◆『グリルdeアスパラガス』のレシピ
【1】アスパラガス1束(5~6本)は〈準備〉を参照して下ごしらえし、下味(塩小さじ1/4、オリーブ油大さじ2、白こしょう少量)をつける。
【2】耐熱皿にアスパラガスを並べてパルメザンチーズ1/4カップを全体にかけ、200℃に余熱したオーブンで15分焼く。焼き上がり少し前に【1】の下味を上からかけ、3~5分焼く。
【3】温泉卵1個を割ってあしらい、軽く白こしょうをふる。
撮影/鍋島徳恭
※女性セブン2017年6月1日号