天皇陛下の生前退位に関する特別法案は今国会で成立の予定。そうなれば、2019年1月に皇太子さまが即位され、「雅子皇后」が誕生することとなる。雅子さまに、“美智子さまのような皇后としての務め”を期待する声は多い。だが、それは雅子さまにとって「難問」ともいえるものも少なくない。
その難問のひとつが、「養蚕(ようさん)」である。5月8日、美智子さまは皇居内にある紅葉山御養蚕所で、野生の蚕の卵を、餌となるクヌギの枝につける「山つけ」の作業をされた。
皇室と養蚕の歴史は古く、日本書紀にもつながりが登場する。近年では明治の頃、絹が輸出産業の大きな割合を占めた時代に、産業を奨励するという意味で御養蚕所が設立され、明治天皇の妻である昭憲皇太后から“皇后の役割”として代々伝わってきた。
「御養蚕所では、日本古来の蚕の希少種『小石丸』の生産中止が検討されたこともありましたが、美智子さまが日本の蚕が姿を消すことを憂い“もうしばらく育てたい”とおっしゃり、今でも毎年春から夏にかけて手作業で養蚕を続けられています。全長5cmほどの白い蚕を手に取られ、“かわいい”とおっしゃるほどに愛情を注いでいらっしゃいます」(宮内庁関係者)
美智子さまが紡がれた糸は、奈良・正倉院の宝物である古代絹織物の修復作業にも使われた。また、海外からの賓客に、小石丸の糸で作られた織物を贈ることもある。
生前退位の日が近づき、美智子さまが皇后として養蚕に携われるのはあと2シーズンしか残されていない。
「伝統を引き継いでいくという点では、美智子さまの隣に雅子さまのお姿がないことを多少さみしく感じます。蚕のような幼虫を苦手にしていらっしゃるかどうかはわかりませんが…。雅子さまもご成婚当初は御養蚕所に足を運ばれることもあったのですが、療養生活に入られてからは蚕に触れられることもありません」(前出・宮内庁関係者)
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2017年6月1日号