何かとストレスが溜まることも多いのが引っ越し。それは人間だけでなく、ペットも同じことだ。茨城県の主婦からこんなお悩みが届いた。
「新居に引っ越すことになりました。よく『犬は人に付き、猫は家に付く』と聞くので、4才の愛猫が、新しい家に慣れてくれるか不安です。気をつけるべきことがあれば教えてください」(茨城県、ナミエ、33才、主婦)
そんなお悩みに対し、国際猫学会ISFM所属で猫専門動物病院「Tokyo Cat Specialists」(東京・港区)院長の山本宗伸さんが、猫の引っ越しに対するストレスについて解説する。
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猫の2大ストレス要因は、“猫同士の不仲”と、そして“引っ越し”です。猫は臆病なので、自分のテリトリーの外に出ると不安になるのです。環境が大きく変わる引っ越しは、猫にとってかなりの負担。できるだけ、環境の変化をなくしてあげることが大切です。
◆新居への猫の移動は飼い主本人がすること
引っ越し業者によっては、ペット輸送の専門業者へ取り次いでくれるところもありますが、新居への猫の移動は飼い主がした方が、安心です。
車での移動の場合、あらかじめ車に乗る練習をしておきましょう。猫も車酔いすることがあるので、心配なら動物病院から酔い止めの薬を処方してもらうのもおすすめです。移動中はブレーキペダルの下に潜りこむ恐れがあるので、必ずキャリーバッグへ。
飛行機の場合、猫は手荷物扱いになりますので、貨物室に預けることになります。ユナイテッド航空など、海外の航空会社の中には、条件つきで猫を客室に入れられるところもあります。貨物室では猫にストレスをかけるので、まずは問い合わせを。
海外への引っ越しの場合は、ワクチンの接種や健康証明書の手配が必要になります。これらが揃うまで最低でも3か月以上かかりますので、前々から準備をしておきましょう。
◆猫が慣れ親しんだ家具で部屋づくりを
新しい家に到着したら、まずは小さい部屋でキャリーのドアを開け、自分から出てくるのを待ちます。その時、できるだけ前の家で使っていたマットやキャットタワーなどを置いてあげるといいでしょう。
というのも、猫はにおいでマーキングをしているので、新しい家でも前の家のにおいが残っていると安心するのです。ですから、引っ越しを機に家具を一新するのではなく、一部の家具はなるべくそのまま使ってあげてください。
最初の数日は、小さめの部屋に入れてそこから出さず、猫が慣れてきたら、徐々に行動範囲を広げ、家全体に慣らしていきます。
新居に慣れるまで、数週間はかかります。猫のペースで、見守ってあげてください。
※女性セブン2017年6月1日号