ビジネス

ネット動画サービス急成長も動くに動けないTVマンのトラウマ

転職に及び腰になるテレビマンたちのトラウマとは

 Windows98が発売され、インターネットが一般的になっておよそ20年が経つ。テキスト(文字)中心だったコンテンツは画像へ、そして動画が当たり前になった。最近では、通信環境の向上にあわせ、プロが制作した映像コンテンツを提供するAbema TV、LINE LIVEの公式配信、Hulu、Netflix、Amazonプライムなど、有料・無料サービスの利用が増加している。新興ネット企業によるこれらのサービスは、成長が見込まれる分野だけに優秀な人が集まりつつあるが、コンテンツ作りの面では、実は常に人材難の状態だ。

「テレビ局と業務提携もしているので、番組を作り慣れた制作会社スタッフがいることはいるのですが、ネット向けの企画に対しては様子見を続けているのがわかります。制作費の目処がたって、いざこちらに注力してもらおうと持ちかけると及び腰になる人ばかりです。制作する番組の数に対して、映像のプロと呼べるスタッフが足りない状態が慢性化しています」

 そう嘆くのは、動画配信サービス運営会社の40代男性プロデューサー。制作する映像はテレビ局との協業になることも多いのだが、関係者と話すと、今でもネット配信を”ライバル”としかとらえていない人が少なくないこと残念そうだ。

「テレビとネット配信の間に競合する部分がないとは言いません。でも、完全なライバルとも言えないと感じています。テレビに比べてネットの場合、あらかじめそのコンテンツに興味がある人が観てくれるので、より大胆な内容に踏み込んでも成立する。一視聴者として両方の映像サービスを利用すると、それぞれの良さがわかります。お互いによい影響を与え合う存在になれると思うんですけどねえ」

 旧来のテレビ関係者がネット動画サービスに対して及び腰になるのは、情報不足によるところが大きいだろう。そしてそれ以上に、慎重になっている理由がある。かつて衛星放送による多チャンネル化が始まったころ働く場を変え、のちに戻ってきた先達たちの苦労をみているからだ。ある制作会社で働く30代のディレクターは、不安の形がはっきりしている方に身を置いているだけだと苦笑する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
新年度も順調に仕事を増やし続けている森香澄
《各方面から引っ張りだこ》森香澄、“あざとかわいい”だけじゃない「実はすごいアナウンス力」、「SNSの使い方はピカイチ」
NEWSポストセブン
4月7日、天皇皇后両陛下は硫黄島へと出発された(撮影/JMPA)
雅子さま、大阪・沖縄・広島・長崎・モンゴルへのご公務で多忙な日々が続く 重大な懸念事項は、硫黄島訪問の強行日程の影響
女性セブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
SNSで出回る“セルフレジに硬貨を大量投入”動画(写真/イメージマート)
《コンビニ・イオン・スシローなどで撮影》セルフレジに“硬貨を大量投入”動画がSNSで出回る 悪ふざけなら「偽計業務妨害罪に該当する可能性がある」と弁護士が指摘 
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン