投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の5月15日~5月19日の動きを振り返りつつ、5月22日~5月26日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は下落。トランプ米大統領が、解任したコミー連邦捜査局(FBI)長官に対し、フリン国家安全保障担当補佐官に関する捜査を中止するよう要請していたことが分かった。また、ロシア外相などと共有したテロ対策情報等についても、政権運営への先行き不透明感につながり、市場は大統領弾劾となった場合の金融市場の反応について予想し始めたとも伝えられるなか、米国市場のみならず、欧州や日本株市場も波乱含みの相場展開となった。
2万円回復目前に迫っていた日経平均はマドを空けての下落となり、5月前半以来の19500円を下回る場面もみられた。トランプ関連として注目されていたセクターや銘柄が総崩れとなり、長期金利の低下から金融セクターの下落も目立った。また、円相場が一時1ドル110円台と円高に振れるなか、業績期待も後退する局面がみられた。
週末こそ落ち着いた値動きをみせているが、トランプ政権の政治混乱リスクが和らぐのを見極める必要がある。トランプ政権が混迷化するなかでは税制改革への期待は高まりそうにないだろう。その為、日本株についても本格的なリバウンドは期待しづらく、明確な底打ちが意識しづらいなか、次第にこう着感の強い相場展開が続きそうである。
ただし、足元では北朝鮮の地政学リスク等もあって膠着感が続いていたこともあり、過度な先高期待は強まっていなかったであろう。決算通過後のメガバンクの動向も今ひとつだったこともあり、積極的な売買も手控えられていた感はある。そのため、それ程シコリは残っているとは考えづらく、冷静に押し目待ちのスタンスといったところ。海外勢の買い越し基調も下支えとなるだろう。
また、今週は24日に日銀の黒田総裁が講演を予定しているほか、米FOMC議事録が公表される。日本の金融緩和政策の継続に対して、米国の6月利上げ確率が高まるようであれば、市場はリバウンドを意識させてくるだろう。その他、26、27日にはG7首脳会議が開催される。なお、トランプ米大統領は19日、9日間の予定で、中東のサウジアラビア、イスラエル、ヨルダン川西岸、欧州ではバチカンなどを訪問し、G7に出席する。ロシアを巡る疑惑で逆風の中での初の外遊となり、相場の変動要因になりそうだ。