アメリカの公的機関による大規模な調査レポート『セックス・イン・アメリカ』が発表されたのは、今から20年以上前の1994年。報告によると、当時のアメリカ人女性の経験人数は「35~39才」で平均7.9人、「44~49才」で8人、「55~59才」で5.4人だった。
続いて、日本人女性の年代別経験人数を見てみよう。相模ゴム工業『ニッポンのセックス』(2013年)によると、20代は5.6人、30代は6.8人、40代は6.1人、50代は4.1人、60代は3.2人となっている。
『セックス・イン・アメリカ』には、「学歴と経験人数」に関する興味深いデータが示されている。調査によると、「経験人数11人以上」と答えた女性の比率は、「高卒未満」で15%、「高卒程度」で17%なのに対し、「大卒」では24%、「大学院卒」は23%に達していた。
つまり、「高学歴な女性ほど経験人数が多い」というわけだ。レポートではその理由を「高学歴であるほど婚期が遅くなり、独身の期間が長くなるから」と推測している。
「結婚前」のセックスに対する意識もこの20年で大きく変わった。1997年の調査では、「婚前交渉」に抵抗を感じる女性が4人に1人以上いた。しかし、2015年の調査では10人に1人以下にまで減っている。今や婚前を理由にセックスを拒否する女性はほぼいない。
再び『セックス・イン・アメリカ』でアメリカ人女性の性事情を見てみよう。現在80才前後の女性の「初体験の相手」は94%が夫。ところが、70才前後では76%、50才前後では35%まで落ちていた。「婚前交渉」への抵抗感が、時代とともに薄れていくのは日本もアメリカも共通のようだ。
結果、結婚年齢は遅くなっているにもかかわらず、「初体験の年齢」は早まっているという逆転現象が起きている。前出の相模ゴム工業の調査では、60代女性の初体験の年齢は22.2才だが、40代では20.1才、30代では19.6才、20代では18.5才だった。
経験人数は「男性の目線」にも影響される。男性が理想とする経験人数で0人と答えたのは4%以下だった。日本性科学会セクシャリティ研究会代表の荒木乳根子さんはこう語る。
「若い男性からも“処女が理想”という考え方が徐々に失われているようです。自由にセックスを楽しむために“処女は責任が重いから避ける”という男性の声も聞かれます」
※女性セブン2017年6月1日号