医療ミスは決して「珍しいこと」ではなく、「すぐそこにあるリスク」と考えておくべきである。
日本医療安全調査機構の調査によれば、医療事故を示す「病院内の調査が必要な“患者の予期せぬ死亡”」の数は2017年4月だけで33件ある。2015年10月の調査開始から1年7か月で累計は601件。1日1件のペースで発生しており、報告されないものも含めれば、潜在的な医療事故はもっと多いと考えられる。
「医療ミス」というと「誤診」や「医師の技術不足や過信」、あるいは「器具の不具合」といった医療行為そのもののミスを想像しがちであるが、それ以上に多いと推測されるのは医師の「過労」を原因とするものだ。
日本外科学会が外科医8316人を対象にアンケート調査を行なったところ、「医療事故は何が原因と考えるか」(複数回答可)という質問に対して81.3%が「過労・多忙」と回答した。2位の「スタッフとのコミュニケーション不足」(67.1%)、3位の「知識・勉強不足」(59.4%)を大きく上回っており、当事者である医師たちが、日頃から「過労」「多忙」が医療事故に直結しかねないと危惧している現状が浮かび上がる。