史上初の「4割バッター」誕生なるか──これまで数々の名選手が挑み、越えられなかった「壁」に、今季は新たな挑戦者がいる。シーズンの約4分の1が消化されるなか、日本ハムの近藤健介(23)が打率4割をキープしているのだ。
大谷翔平(22)、岡大海(25)、中島卓也(26)など次々に主力が離脱しチームは5位と低迷するなか、近藤はひとり好調を維持してきた。開幕から24試合連続出塁を記録し、打率は5月17日終了の時点で4割3分1厘。もともと捕手として入団したが、外野の守備もこなし、今季はここまで3番DHでの起用が多い。
ロッテと西武でプレーし、通算2081安打を放った山崎裕之氏はその打撃技術を高く評価する。
「タイミングの取り方がすごくうまい。体重も早くからちゃんと軸になる左足に乗っているので、インコースの難しい球でもレフト方向におっつけることができます。2年前、インローのまず打てない球をレフトのポール際に放り込んだのを見た時は驚きました。日本で初めて、4割を打てるバッターが出てきたなと思いますね」
日本球界の歴代最高打率は、1986年にバース(阪神)が記録した3割8分9厘で、2位がオリックス時代のイチローの3割8分7厘(2000年)。4割をキープし続けた最長記録はクロマティ(巨人)が持つ96試合(1989年)だ(シーズン終了時の打率は3割7分8厘)。名だたる選手たちですら、越えられなかった4割の壁に、近藤は挑んでいくことになる。